要するに土浦の事件なのだ。すわっ、ニートだ、というのでドドッとこちらを覗いていただきました(笑)。ちなみに、わたしはニートではありません。ホームレスですが収入はあります。
「自分の居場所がない」
という容疑者のコメントは、物理的空間より精神的なものだろうと思う。家族だけで抱え込んでしまい、閉塞した環境の中で互いが刺激しあった結果、容疑者が追い込まれた、ということか。なにがしかの機関なり医者なりに相談していれば、と思うが……。合掌。
余談ながら、福祉、という観点から見ても、日本では家族のことは家族でという認識が根強く、たとえば介護でも介護保険が導入されたとはいえ、いまだに家族の負担は大きい。文化的に、社会よりまず家族でめんどうを、という意識が強いのだ。
若年層の雇用問題が叫ばれながら若いホームレスがそれほど目立たないのは、ひとえに家族が抱え込んでいるからである。もし家族がいなくなったら、むろんすべてがそうなるわけではないにしても、路上にはホームレスがどっとあふれかえるだろう。
現在のホームレス問題は、不況による中高年層の失業、つまり年齢が高いために仕事がないという人たちが中核になっていて、行政の施策も主に雇用の問題が焦点になっている。しかし、これから路上に堕ちてくる人たちは、失業よりもむしろ心理的な問題から仕事ができない層が中心となる可能性が高い。
若者の就業を支援するプログラムはようやくスタートしたばかりで、まだ海のものとも山のものとも知れないところがある。なんでも家族に押し付けず、家族もろとも行政で支援し、今回のような悲劇を防ぐ手立てを講じるのは当然としても、抱え込んだままの家族がいなくなり、ために路上に堕ちてくる人を心理的に支援する仕組みも考えておかなければならない。
現在のホームレス対策は、心理的な問題をほとんどサポートしていない。このままゆけば後手に回ってしまうだろう。転ばぬ先の杖、早急に対策を講じておいた方がよい。
★今日のポイント
- 日本では家族のことは家族でという意識が強いので、潜在的なホームレスを家族が抱え込み、若年ホームレスが目立たない
- 家族がいなくなれば、彼らはホームレスになる可能性がある
- こうした人たちは、雇用の問題よりも心理的な要因で就業できないケースが多いと考えられるので、心理的なサポート体制を整えておく必要がある