7月31日付の日経新聞によると、尾辻厚生労働相がニート対策に、
「お金がかかってもいい。一人でも多くの若者に働く意欲を持ってほしい」
と述べ、予算の拡充方針を示したという。
その厚労省では8月1日から「働く若者ネット相談」を始めるという。パソコンやケータイで専門家の相談を受けられるそうだ。ネットなら割と相談しやすいかも知れないナ。
わたしも今、ちょっとだけのぞいてみたが、なんだ、わたしのお気に入りにも登録してあるJCDA(日本キャリア開発協会)が、厚労省から委託されて運営しているんじゃないか。要するに、連中はキャリアカウンセリングの専門集団だからネ。
ところで、数日前のやはり日経だったが、「回転いす」というちいさなコラムで、リクルート社長の柏木さんが、これからは就職情報だけでなくカウンセリングも提供したい、みたいなことをおっしゃっていた。キャリアカウンセリングのことだろうが、これもやはりニートを視野に入れての発言だった。今やニートという概念はすっかり根付いたといってよいと思う。
やはり数日前のナントカ新聞で、これは横浜市だが、夏休みの小学生に商店街の仕事を手伝ってもらい、働く意義だか意味だかを知ってもらおうとする試みがおこなわれるという記事を見た。このようなことは、おそらく昔からどこかでおこなわれていただろうが、現在ことさらニュースになるのは、いうまでもなくニート問題が浮上してきた結果だろう。
そこへゆくとホームレス問題は……てな話になるのだけれど、これまた7月31日付の日経、「駆ける」というコラムで、ホームレスの巡回診察をしている医師を取り上げている。
ホームレスの酷い健康状態を見て受診を勧めるも、病院への不信感から拒否されることが多く、まず人間として信頼してもらおうと奔走し、ようやく徐々にではあるが受け容れられるようになってきたという話である。
多くのホームレスは人間に対する不信の渦中にある。これまでこっぴどく痛めつけられた世間から突然に手を差し伸べられても、おいそれと口車に乗るわけにはゆかない。再びどのような陥穽が待ち受けているかわからないからだ。動物をイジメると二度と人に近づかなくなるが、当然に人間も動物のうち。一般人がホームレスから信頼されるまでには、たいへんな道のりがあることが、この記事からもよくわかる。