6日付の東京新聞が「ホームレス6700人減少 4年前より、景気回復影響」と報じた。
公園や河川などで生活するホームレスの数が、4年前に比べ約6700人減り、約1万8500人であることが6日、厚生労働省が公表した全国調査の結果で分かった。東京、大阪、名古屋などの大都市で減少が目立っており、同省は「景気回復や国の支援策で、就労や自立が進んだ結果ではないか」(地域福祉課)としている。
しかし「大阪市のホームレス減少、東京23区と逆転 厚労省調べ」(朝日新聞)は、調査方法の問題点を指摘する。
調査は1月中旬、市職員や民生委員らが目視で数えた。路上暮らしの場合などは、日中に出かけている場合、数に入れていない可能性がある。野宿者問題に詳しい大阪市立大大学院の島和博教授(社会学)は調査の不正確さを指摘したうえで、「数字だけでは減った人間のその後が分からない。内実を明らかにし、長期野宿者向けの施策にも取り組むべきだ」と話している。
もちろん自立支援策によってホームレスから脱出した人もいるはずだが、公園や河川敷などの目立ったところから追い払っただけで、眼に見えなくなっただけというのが実態であろう。語弊のあるたとえをすれば、自宅の前をほうきで掃いてきれいにはしたが、隣の家は逆に汚れたということに過ぎない。
「ネットカフェ難民」や「マック難民」といったワーキングプア層が社会問題になりつつあることを見てもわかるとおり、眼に見えるところではホームレスは減り、眼に見えないところでは増えている可能性が大きい。いい加減に調査して減った減ったと喜んでいると、あとでとんでもないしっぺ返しを食らうことになる。