福祉など

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ソーシャルワーカーは相談者の訴えに耳を傾けよく話を聴き、相手や家族などの状況を考えながらニーズを検討する。そして、信頼関係を築く専門技法を駆使しながら、必要な各種サービス制度を利用するところまで相談者の意欲を高め、最終的には自己決定をするところまで関わりを持つ。心理的な援助のみのカウンセリングとちがい、ソーシャルワーク技術はダイナミックに作用する。各種制度やサービスの利用をはじめ、家族や学校、地域などを含んだ援助までをおこなう。

……というところが、ソーシャルワーカーの仕事の優等生的な答えのようだ。しかし、おそらくこれは現実的な話ではない。ある福祉事務所のソーシャルワーカー(ケースワーカー)は、多いときには100人以上のケースを持つという。150人ものケースを持った人もいると聞く。

このような状況下で、相談者個々人と信頼関係を築いてサポートをおこなうのは不可能である。なんとか相手の外部的な状況を把握して、適当と思われるサービスを提供ないし斡旋するので精一杯であろう。相談者との信頼関係をカウンセリングで「ラポール」と呼ぶが、このラポールを形成することがカウンセリングでは当初の目標になる。ラポールが形成されなければ、いかなるサービスも満足に提供し得ないのだが、ソーシャルワークの現場でラポールが形成されているとはいいがたいのじゃないか。

パソコンを買うのに店員に相談するのとはわけがちがう。パソコンを買うために、店員に自分の今の感情をわかってもらいたいと願う客はいない。なぜこの店員は自分の気持ちを理解してくれないのだろうと悩む客もいない。店員はよさげなパソコンの情報を提供し、客はそれを吟味するだけだ。ソーシャルワークの現場は、その多忙さゆえに、おそらくパソコン売り場のようになっているのだろうと思う。それゆえに、
「福祉事務所に行ったらひどい扱いを受けた」
などという苦情が後を絶たないのじゃないか。

(2)
そもそも日本の福祉ってのは高齢者・障害者・児童という3本柱があって、それ以外は付属みたいなものなのだな。ホームレスも福祉という観点からは純粋には捉えられていないんだな。だから「ホームレスをビシビシ鍛え上げろ」みたいな意見が現場から出てくるんだろう。3本柱は援助の対象だが、それ以外は純粋には援助の対象じゃないと考えているのだろうな。

(3)
自由がなによりも大切、ということで考えれば、福祉も自由であるべきだろう。それは自由意志による強制されることのない自己決定であり、幸福感を伴った自助努力による自立への道である。だからこそ、そこには自己責任という意識が生まれてくるのである。

これは、保護的な福祉に依存させると当事者の自立を阻害するとか、財政を圧迫するとかなんとかいうことではない。個人の持つ能力を最大限に発揮して生きることが、すなわち人生でもっとも幸福な生き方であるからだ。

スポーツにおける輝ける一瞬について考えてみて欲しい。陸上でも体操でもなんでもよいけれど、限界まで鍛え上げられた肉体が信じられないような技を繰り出すのを見たとき、ぼくらはときにいいがたい衝動に襲われて涙さえ流す。

この衝動についてよくわからないから、人はみな、
「感動しましたッ!」
といって口をつぐんでしまう。あるいはあとから理由を見つけてきて、
「これまでになるにはたいへんな努力をしてきたのだろう」
「再起不能といわれたのに復活するとは」
「あれほどの苦しみを乗り越えるとは」
なーんちゃって、背後のストーリーを想像してみたりする。

実は、いずれもまちがいだ。表彰式やインタビューにつられてぼくらが流す涙はいざ知らず、プレーの瞬間において流す涙の理由はまったくちがうのである。

それは、魂が燃え盛る瞬間を目撃したからだ。

魂が激しく燃え上がり、どっと炎を吹き上げる瞬間、眼もくらむほどに命がギリギリの輝きを見せた瞬間を目撃したからなのだ。理由、などというものじゃない。この炎は、ただ周囲の者たちを巻き込んで光速で燃え広がる。見る者たちの魂をむんずとつかんで激しく揺さぶり、共鳴させてゆく。そういう力の仕業なのである。理由なんかありゃしないのだ。

話が逸れたけれど、福祉における「自立」という考え方も、まず当事者の幸せな生き方を前提にして使われなければおかしい。「自己決定」なのだから「自業自得」だとか、「自己申告」だから「自己責任」なのだとか、「自立」のために「自助努力」を強制するだとか、これらのことばが「自由」の代償という意味で使われている。どうにもことばの使い方がまちがっている。

自由の結果としての代償ではなく、自由な未来の前提として使われるべきなのである。

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