簡易宿泊所のことを通称「ドヤ」と呼ぶのはご存知だろうが(「簡宿(かんしゅく)」と呼ぶ人もいる)、そのドヤが集まっているドヤ街というと、なにやらスラムのような、汚くて危険なイメージを持つ人がいるかも知れない。
写真は川崎・日進町のドヤ街である。現実にはただの住宅街だ。建物も鉄筋コンクリートや鉄骨2階建てが主で、みすぼらしいイメージはまったくない。
よく1泊500円だとか1,000円だとかの話を耳にするが、実は、一般に思われている以上にドヤの料金は高いので、ここには1泊3,000円のところもある。見た限りにおいて、むろん1,000円以下の安宿などあるはずもなく、1,500円出してさえどこにも泊まれない。ドヤは小銭で泊まれるというようなもっともらしい話は、今や都市伝説に近い。
東京・山谷や横浜・寿町に比べればはるかに規模はちいさく、道幅も狭い。左側を京浜急行線が走る。
見かけは、一戸建て住宅が建ち並んでいるだけのように見える。しかし、一戸建て住宅の一室を貸しているわけではない。間口は狭くとも奥ゆきは深く、共同アパートのようなつくりになっている。
旧き時代の名残りであろう。そうとうくたびれた「全室テレビ付」の看板。
***
以下はドヤ街とは関係ない写真。これは壁ぎわに住むホームレスのおじさん。なにか落としたのか、一所懸命、拾い集めているようだった。
こちらはこの寒空に、とあるガード下で寝起きするホームレスたち。このトンネルに出口はあるが、ホームレスに出口は果たしてあるのか。