この冬は、ここ数年でいちばんの寒さだろう。都心で降っても川崎は降らないというほど雪に縁の薄いこの街も、先日はうっすらと雪化粧。身震いするような寒さであった。今日も先ほどまで路上をウロウロしていたが、ウンザリするような冷え込みである。
凍りつくようなアスファルトの上にダンボール一枚を敷き詰めて、頭から毛布をかぶり震えながら縮こまっているホームレスの脇をとおり過ぎながら、ぼくはぬくぬくと暖かな場所に逃げ込んでいる。この冬、何度目かの風邪を引き、白湯で葛根湯をいただく。
風邪を引いている人はお大事に。暖かくしてお休み。引いていない人は気をつけて。暖かくしてお休み。風邪が治った人は、また引かないように。暖かくしてお休み。
ぼくはこれからひと仕事片づける。――外で寝ていたおやっさんは、この冬、何度風邪を引いただろうか。そんなことを、ふと考える。