ホームレスに将来があるか、と問われたら、躊躇なく「ない」と答える。ホームレスの将来とは、すなわちワーキングプアのことだからだ。
ホームレス脱出、などといったところで、所在なきワーキングプアから、住まいのあるワーキングプアに出世するだけである。そこがホームレスのドン詰まりだ。その先に道はない。
にもかかわらず、ありもしない将来をめざして生きてゆかなければならぬとは、どういうことなのか。ぼくらはそこがドン詰まりであることを知りながら、
「ホームレス脱出をめざしてがんばりますッ!」
「ネットカフェ難民から脱出しますッ!」
と叫ぶ。ことばの裏に、どこかウソが潜んでいることを感じながらも。
ことばだけが、ただ虚ろに響きつづける。
(ジャングルジムにて。すその擦り切れたパンツとともに/2007.05.23撮影)