なんだか近ごろは、気がつくと、どよよんとしている。いつも、どよよん。今も、どよよん。明日も、どよよん。やらなきゃいけないことがあるのに、どよよん。なくても、どよよん。
原因はわかっている。いや、わかっていないかも知れない。わかっているような気がしているだけなのかも知れないのかもわからないかも知れないような気がしているのかもわからない気がしているような気がしているようだ。
あなたは、俺と出会ってなにかよいことがあっただろうか? 俺の書くことばは、その……あなたのこころに届いているだろうか? 届くのは、むろんことばじゃなくて、こころなのだけれど。あなたのこころは、俺のこころと出会ってなにかよいことがあったのだろうか? あなたのこころは、なぜ俺のこころを招いたのだ?
今、もう少しだけ時間を割いてください。今、この文章を読んでいるあなたの時間を、もう少しだけ俺にください。あなたの時間を俺にください。あなたを俺にください。もっとください。もっとあなたをくれ。あなたを全部よこせ。そうだ、全部よこせ。すべて俺がもらってゆく。
もっとだ、もっとくれ。もっとよこせ。あなたをもっとよこせ。この文章を読んでいる時間、あなたは俺のものだ。そら、もっとよこすんだ。あなたを全部よこせ。あなたは俺がもらってゆく。あなたはもう俺のものだ。
もう、あなたは俺のもの。
今、あなたは俺だけのものだ。今だけは、あなたは俺のものだ。だから、もう少しだけ時間を割いてください。もう少しだけ、あなたの時間を俺にください。もう少しだけ、ここにいてください。もう少しだけ、そばにいて。