NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」

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「言ノ葉工房」の「若者難民は死しかないのか。」では、フリーターの悲惨さを伝える朝日OPENDOORSの記事を紹介している。

かいつまんでいうと、千葉県に住む30過ぎのフリーターが職を失い、10社以上に面接に行っても全部落ち、DVDレコーダーやパソコンデスク、ゲーム機など、お金になりそうなものはほとんど売り払い、収入も貯金もなく、家賃は4ヶ月、光熱費は2ヶ月も溜まってしまい、「なんとか助かる方法はないだろうか」と福祉事務所に出向いたところ、のらりくらりとかわされたが、NPO法人「もやい」の助けを得て、ようやく生活保護を受給することができたと、まぁそんな話である。ふぅ。

詳しくは元記事にあたっていただきたいが、ここで興味深いのは、このフリーターの人は「もやい」に行き着くまでに、いくつかのホームレス支援団体に相談しているのだ。その部分を引用しておきたい。

1件目、千葉市のNPOは「野宿者じゃないから支援できない」。
2件目、東京・山谷のNPOは「野宿者でなければ、具体的な支援はできない」。
3件目、山谷の別のNPOは「東京在住じゃないと支援できない」。
4件目、また別の山谷のNPOがやっと「東京在住じゃないので支援はできないかもしれないが、相談には乗る」と言ってくれた。

要は、ホームレスじゃないからとか地元じゃないからとか言い訳して、な~んも手を貸してはくれないのだね。これはこのフリーターの人、わらにもすがる思いであったろうに、さぞや心細かったにちがいない。

他地域のNPOでホームレスを支援する人と話をしてみると、根本的な考え方が完全に食いちがっていることも多い。たとえば「地縁が大事」といって、地元以外のホームレスは相手にしないようなケースがままある。NPOや個人によって方針があるのだろうが、国境どころかちいさな地域の枠を一歩踏み出したとたん、外のホームレスが眼に入らなくなるということが、ぼくなどにはどうしても解せない。

この「もやい」というのは、持てる専門知識とその行動力によって、最近になってとりわけ若い人たちのあいだで急速に支持されはじめている団体だ。格差社会や貧困のシンポジウムなどにも参加して、メディアに取り上げられることも多い。まだはっきりとはことばにできないのだが、なにか今までにない、新しいタイプのホームレス支援団体である雰囲気が漂う。なにかの枠にとらわれることなく、縦横無尽に活躍している。

いや、もはやホームレス支援団体ですらなく、ネットカフェ難民だのニートだのフリーターだの引きこもりだの、あるいは若年だの中年だの老年だのという年齢の振り分けさえ越えて、垣根なく全体を見渡せるような、そんな団体に成長する可能性を秘めている。アウトリーチに弱さを感じるのが玉に瑕だが、ちょっとおもしろい。

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