「僕はまいにち、「なにか」をさがして・・・」の松岡秀明さんが、ネットカフェに寝泊りしながら仕事をしているいわゆる「ネットカフェ難民」(ネットカフェワーカー、ネットカフェホームレス)のためのサロンをmixi内に開設している。
ほかにもいくつかコミュニティはあるようだが、ここでは「この生活の「最大の敵」は「孤独」だ」という見解に基づいて、このコミュニティを通じて友人を作るなり情報交換をするなりして、ネットカフェの生活から脱してもらいたい意向のようだ。支援しようと同調する人たちも現れてはきていて、しかし当事者の様子がわからないために四苦八苦している様子がうかがえる。
孤独が最大の敵かどうかは議論の余地があるだろうし、また問題の当事者が参加している様子が見当たらないのは残念だが、試みとしてはたいへんにおもしろい。
ネットカフェ難民については、3月7日放映の日本テレビ「NEWS ZERO」が報道した動画をYuoTubeからごらんいただきたい。
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厄介なのは、ぼくの知る限りネットカフェ難民とか呼ばれる当事者は、必ずしも熱心にインターネットを使っているわけではないということだ。マンガを読んだりテレビを見ている奴のほうが多い。あるいはゲーム、または単に寝ているので、ましてやmixiという会員制のネットワークに参加する機会はほとんどないといってもよいだろうと思う。
ぼくは日雇い派遣労働者としてのネットカフェ難民とは別口だし、そもそも若者じゃないけれども、ネットカフェを使うホームレスの経験でいえば、自分のブログが忙しくてmixiまで手がまわらない。つーか、そもそも招待してくれる人がいなかったので、mixiの会員になれなかった時期が非常に長かった。ぼくを誘ってくれたのは、ホームレスやネットカフェ難民とはまったく関係のない人だった。ネットを通じて友人なり知人なりを持つのは、個人の資質が関係するにしても、これまた相当にむずかしいのだ。
ここでひとつはっきりとわかるのは、ネットカフェ難民を支援しようと思ったら、積極的にアウトリーチしてゆかないとダメだということだろう。現実に彼らを援助するのならば、深夜のネットカフェに足を運ぶ必要さえある。あるいは夕方や明け方に張り込んで、それらしき人たちに直接声をかけてゆかなければ、その存在すら認めることができないだろう。
海の底深く沈んでいる層はみずから浮かんでくることなどほとんどなく、こちらから潜ってゆかなければ見つけることさえむずかしい。援助の対象としてはきわめて厄介なのである。