東京都の調査では、23区のホームレスが昨年に比べて1,000人以上減り、4,200人余りになったと朝日新聞が報じた(リンクが切れているかも)。都では家賃3,000円で2年間アパートを貸す「ホームレス地域生活移行支援事業」などの施策が奏功したと見ている。
今3,000円を払えるからといって2年後に数万円の家賃を払えるかどうかはまったく未知数で、この施策の成否は2年を過ぎてから論じなければなんの意味もないが、それはさておき、以前「ホームレス自立支援施設完成」というニュースがあったけれど、東京都はわりと手広い支援体制を持っていて、あれやこれやといろいろやっている。
しかし、シェルター(一時保護施設)や自立支援センターなどは、所詮「ホームレス収容所」に過ぎない。シェルターは使わずともアパートならば利用者がある。個別の安定的なふつうの住居を持つことが人間にとっていかに重要か、今回のニュースはそれを裏付けているとの見方もできる。
だが、日本ではホームレス問題は、まず労働問題と捉えられている。住宅問題が真っ先に論じられることはほとんどなく、そのために欧米諸国に比べるとたいへんに支援が遅れている。
海の向こうでは、自然災害の被災者などもすべて「ホームレス」と呼ばれているのをご存知だろうか? ルイジアナを襲ったあの巨大台風「カトリーナ」の被災者たちも、実はみなすべて「ホームレス」であったのだ。調べればわかるが、あの時期アメリカのメディアでは「homeless」の文字が跳ね回っていたのである。
欧米のホームレス事情を調べていると、まず真っ先に出てくるのが住宅行政である。たとえば、アメリカでは「HUD」などだが、これは連邦政府のサイトなのだッ! 連邦政府がここまできめ細かい支援をしている。住宅の支援はホームレス問題と切り離せない、最優先事項と考えられているのだろう。わたし自身、このブログで何度か「まずは住まい」ということをいってきたけれど、必ずしも根拠のないことではないのである。
さて、欧米に比べて、その考え方も実際の支援もたいへんに遅れている日本のホームレス住宅支援だが、これについてまとめられた良書があるので紹介したい。
タイトルのとおり、ホームレスの住宅についての白書である。学者さんや関係者などの論文が満載で、やや大部な本であり、やや難解だ。しかし、たいへん勉強になる。資料としては1級品だと思う。ごくまれに図書館に置いてあることもあるから(わたしも偶然、とある図書館で見つけた)、その折りはぜひ手に取ってご覧いただきたい。あなたはそこに、ホームレス問題における住宅行政の重要性を再発見するはずだ。
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- 「Caseworker”s”」さん