わたしの知る限り、このニュースを報じたのは日経新聞だけのようだった。少なくとも朝刊において、毎日、読売、朝日の3紙は記事にしていない。なぜ日経だけが?という見方もおもしろいけれど、それはさておき……
8月4日付の日経新聞・神奈川版は、県、横浜市、川崎市、県労働福祉協会など9団体が、ホームレスの就業支援を目的とした「神奈川県ホームレス就業支援協議会」を設立したと報じた。厚生労働省の指導する「ホームレス就業支援事業」の受託組織だという。9月に横浜と川崎に拠点を設け、就労意欲がありながらホームレス生活を余儀なくされている人の就業相談に乗る。そのほかにも仕事の情報提供や紹介をし、臨時的で簡易な仕事を提供する。また、職場体験講習の受け入れ先なども開拓するというが……
……なんだか窓口ばかりができてゆく印象がある。しかし、川崎にとってはよいニュースなのかも知れない。川崎には「愛生寮」というホームレス一時宿泊施設があるのだけれど、自立支援センターの建設は暗礁に乗り上げたままのようである。
要するに「入り口」はあるのだが「出口」がない。「愛生寮」では職業相談や紹介などにも業務を拡張しているようだけれど、あまりはかばかしい効果はあがっていないようだ。ようだ、というのは、ここは情報を一切出さないので知りようがないのである。まぁ「中抜き」ではあるが「出口」強化は悪いニュースじゃない。
問題は、ホームレスがそうした窓口を使うかどうかだ。場所だけ作って、あとは待ちの態勢になるんじゃないか。そうなると、おそらくほとんど機能しないだろう。仮にホームレスがやってきても一度きりで、以後は二度とこなくなるような窓口になりはしないか。そもそも大半のホームレスは行かないだろうし、行く元気のある者は冷やかしに行くのだ。無用の長物にならなければよいのだが……