まずは住居
まず仕事を、というホームレスやボランティアが非常に多く見受けられるけれど、わたしはやはり住居が先だと考える。日雇いの仕事がいくら増えても、かつてのようなドヤや飯場の生活へと舞い戻るだけで、失業即ホームレスの状況は変わらない。常雇用で安定就労をしてアパートを借りる、というには、技能も資格も足りない。やはり住まいが先であろう。
もともと支援団体は、労働環境の改善や賃金交渉など労働問題を扱ってきたところが多いので、ついつい、
「まずは仕事を」
となってしまうらしい。ほとんど反射神経なのだろう。なるほど、これも理屈である。
もっと情報公開を
支援者のホームページは多いが、行政や公的支援施設や地域住民の取り組みなどを紹介したサイトはまったくない。シェルターとか自立支援センターとか、中で誰がどんなことをやってどんな結果を出してるのか? 地域の住民組織などが、
「わたしたちの地域では、このようにホームレス問題に取り組んでいます」
とか、日々の活動状況とかをきちんとしたかたちでまとめ上げて発信する、そういう情報こそが必要とされているのだが、なぜないのだろうか?
要するに情報公開の話なのだ。どこかで誰かが日々ホームレス問題に取り組み、なにがしかを話し合いその結果を試行錯誤しているはずなのに、その情報がまったく流れてこない。時折、新聞の隅に書かれるだけでは、ホームレス問題の理解など広まるわけもない。
偏見や差別を含むホームレス問題は、実は一般市民がホームレスについてなにも知らないことから起こっている部分が大きいのだ。学校で教わった子供たちのほうが、よほどよく知っている場合もある。もっとオープンに、積極的に情報を提供してゆかなきゃいかんでしょう。ちいさな地域の中だけで完結させず外に向かってアピールしてゆかなきゃダメなのだが、情報発信の有用性を知らない人たちはどうもいろいろ隠したがるよねぇ。隠すプラスよりオープンにしないマイナスのほうがはるかに大きいのだということが、ぜんぜんわかってないんだなァ……