ニートの定義
ニート(NEET)とは「Not in Employment, Education or Training」または「Not in Education, Employment or Training」の頭文字を取ったもので、学校(予備校なども含む)に籍がなくて仕事をしておらず進学および就業へ向けての活動をしていない、15歳~34歳の独身者を指していう。
内閣府による「青少年の就労に関する研究調査」(2005年)では、就職活動をしている人も含めてその全体、
- 求職型:就職希望を表明し、求職活動をしている個人
- 非求職型:就職希望を表明しながら、求職活動はしていない個人
- 非希望型:就職希望を表明していない個人
を「無業者」と定義しているが、このうち1を除く2と3が、いわゆるニートとされている。行政のいう無業者とニートの間には、このように若干のちがいがある。
また『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』(玄田有史・曲沼美恵/幻冬舎)では、
- 就業者
- 失業者:仕事はしていないが、行政の調査期間中(月末1週間)ハローワークに登録するなど、具体的に職探しをしている者
- 就業希望者:調査期間中は職探しをしておらず失業者の枠から漏れたが、就業を希望している者
- 就職内定者
- 学生
- 浪人
- 主婦
に含まれない人をニートとしているが、これも行政とほぼおなじ定義だ。
ニートの類型
先に掲げたとおり、内閣府によればニートは以下に分類される。
- 非求職型:就職希望を表明しながら、求職活動はしていない個人
- 非希望型:就職希望を表明していない個人
独立行政法人労働政策研究・研修機構副統括研究員の小杉礼子さんは、これらニートを、
- ヤンキー型:反社会的で、享楽的。「今が楽しければいい」というタイプ
- ひきこもり型:社会との関係を築けず、こもってしまうタイプ
- 立ちすくみ型:就職を前に考え込んでしまい行き詰まってしまうタイプ
- つまずき型:いったんは就職したものの早々に辞め、自信を喪失したタイプ
の4種類に分類している。立ちすくみ型には「自分に合った仕事を探したい」という理由で就業しない人も含まれるようだ。
ややおもしろいところでは、『sarutoruの日記』でsarutoruさんが「就業意欲」と「コミュニケーション」というふたつの軸でニートを分類し、
- 求職型無業者:コミュニケーション外向性・就業意欲有
- 浮遊型無業者:コミュニケーション外向性・就業意欲無
- 焦燥系ひきこもり無業者:コミュニケーション内向性・就業意欲有
- 完全ひきこもり無業者:コミュニケーション内向性・就業意欲無
のように分けているのが眼を引く。
平たくいってニートは、
- 怠け者タイプ:仕事が嫌で遊んでいるタイプ
- 自分探しタイプ:自分に合った仕事を探しているタイプ
- 不安タイプ:仕事をするのが不安なタイプ
の3種類でもよいかも知れない。さらに絞るのなら、
- 自発的ニート:働かないタイプ
- 非自発的ニート:働けないタイプ
でもよい。いずれにしろ、専門の研究者でない一般人の認識としては、それほどきめ細かに分類する必要はないと思われる。
余談ながら、非自発的なニートには達成動機(物事を成し遂げる意欲)の高い人と低い人とがいて、
- 達成動機が高い:就業しなければならないという強い気持ちが空回りしてしまう
- 達成動機が低い:就業すること自体にあまり意欲がない
というように分類できるが、これはまだ研究中である。ちなみに心理学では、達成動機は高過ぎても低過ぎても物事をやり遂げられないとされている。
なお、当初はヤンキー型や立ちすくみ型、求職型無業者や浮遊型無業者、怠け者タイプや自分探しタイプなどの自発的ニートが問題とされていたが、現在はそれ以外の非自発的なニートに主眼が移ってきている。
フリーター対策や引きこもり支援を含む若者支援の一環として始まった「若者自立塾」なども、こうした非自発的ニートをいかに社会参加させてゆくかに焦点が当てられているようだ。