ニートと引きこもり(2)

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 先日発表された労働経済白書で、学校にもゆかず働きもせず求職活動もおこなっていない若年無業者、いわゆるニートが52万人いるとされた。これは定義からすれば、遊び人よろしくブラブラしている者だけではなく引きこもりの若者たちも含んだ数字だろうと思うのだが、今、引きこもりの人は数十万とも100万ともいわれているのだから、両者合わせて52万人というのはいささか少ない数字だ。それはともかく、ここではまず引きこもりの人とホームレスとの接点を探ってみたい。

 平成15年に厚生労働省から発表された「ホームレスの実態に関する全国調査報告書」で報告されている、約2,000人のホームレスを対象にした面接調査では、現在収入のある仕事をしているかとの問いに、「している」と答えた人が64.7%であった。今後どのような生活を望むかとの問いには、

  • きちんと就職して働きたい………………49.7%
  • アルミ缶回収など都市雑業的な仕事……6.7%
  • 行政から支援を受けながらの軽い仕事…8.6%

 合わせて65%の人がなんらかの仕事を望んでいる。「今のままでいい」、つまり路上生活のままでいいと答えた人はわずか13.1%に過ぎない。残りの人たちは入院や生活保護を望んでいるが、この調査は、ホームレスは決して「怠け者」ではなく、また好きでホームレス状態にあるわけではないことを物語っていると考えてよいだろう。

 さて、引きこもりのほうでは、やはり平成15年にNHKが番組でおこなった1000人のネット・アンケート調査がある。引きこもりであるから当然仕事はしていないのだが、「現在の生活に不満」と「やや不満」が合わせて78%、「将来が不安」が「やや不安」と合わせて91%、「働いていないことに対して焦る」と「やや焦る」が合わせて87%、「働いていないと一人前ではない」が「ややそう思う」と合わせて80%などと、軒並み高い数字になっている。そして「好きでひきこもっているわけではないが、自分ではどうしようもない」と答えた人が、「ややそう思う」と合わせて85%もいる。ここでもまた、引きこもりの人たちは「怠け者」なのではなく、不満と不安と焦りの中で日々を過ごし、にもかかわらず自分ではどうにもできないという苦しみの中に生きていることがわかる。

 さて、冒頭からこの話を持ち出すのにはわけがある。それは、この両者に対する世間一般の批判に「怠けている」「甘えている」「わがまま」「義務を果たしていない」「税金の無駄遣い」「働かざるもの食うべからず」など、共通項が見られるからだ。しかし、先の調査でもわかるように、両者とも己が現状を肯定している者は少数派である。なんとかしたいがどうにもならぬ、そういう人たちが多数を占めるのだということを、まずきちんと認識しておきたい。

 こうした批判は、する側のストレスを発散させる効果しか持たず、問題の解決には役立たない。なぜなら、これらの批判が本人のプレッシャーやストレスとなり、かえって社会参加・復帰への妨げとなり得るからである。実際、引きこもりの事例では、両親などが不毛ともいえるお説教や叱咤激励を繰り返したため、なおいっそう引きこもりが深まってしまったなどという話も多い。悪循環に陥るのだ。ウサ晴らしにしか過ぎない批判はまったく実効性がなく、問題の解決からは遠のくばかりであることを、まずはじめに確認しておく必要があるだろう。

★今日のポイント

  • ホームレスは大半が仕事をし将来も就業を望んでいて、引きこもりも現状に不安や焦りを感じている人がほとんど
  • 怠け者や甘えているのではなく、当事者は大多数が苦しんでいる
  • 感情的な批判は当事者を追い込むばかりなので問題解決につながらない

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