「自立生活サポートセンター・もやい」の窮地・その後

スポンサーリンク

リプラス破綻で資金援助を受けていた「自立生活サポートセンター・もやい」が窮地に立った話だが、1ヶ月あまりで総額3,400万円以上(!)の寄付が集まったそうで、来年度までの活動には支障をきたさなくなったようだ。よかったね。

しかし、この金額の大きさには、多くのホームレス団体が度肝を抜かれたり腰を抜かしたりしたのじゃないかと思う。ホームレス関連でカンパを集めるのがいかにむずかしいか、ぼくもそうだが経験のある人はご存知だろう。ぼくなどは驚きを通り越して開いた口がふさがらないほどだった。まったく衝撃的な集金能力だ。

たかが1ヶ月でこれだけの資金を集めたとなると、この団体がいかに大きな力を持ちはじめているかがわかる。今後のホームレス支援活動の中心を担ってゆく団体なのだろう。元々は「新宿連絡会」の活動家が立ち上げたもので、ここは有名な西新宿地下街のダンボール村を支援した組織だから、ホームレスのコミュニティを大切にするコンセプトを引き継ぐ。コミュニティを通じてのつながりを重視することから「もやい」の名がついていると記憶している。

ホームレスのコミュニティというものは一般社会と一線を画した存在であるため、別のいい方をすると、外には眼を向けずコミュニティの内部で完結し、ときには外部と対立を呼び起こす世界でもある。「つながる」のはコミュニティ内部でのみであり、外の世界とつながろうとしているわけではない。そこがネットワークとはちがう。

彼らが窓口支援という「待ちの姿勢」から脱却しないのは、おそらくここいらに原因があるのだろう。彼らが「もやい」という名のコミュニティの外に、自ら進んで手を伸ばすことはあるまい。コンセプトから考えれば、おそらくこの「待ちの姿勢」は永続的につづくはずである。

***

「もやい」を見ていると、いつも「クールでクレバーな団体だなぁ」と思う。たとえばホームページだ。ふつうのホームレス支援団体のサイトとは明らかにちがう。専門的な話になるが、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)という高度でややこしい最新の技術を用いて作られているから、プロではないにしろその筋に非常に詳しいメンバーが噛んでいるのだろう。ふつうはCMSなんか思いつきもしないので、これだけ見ても従来の支援団体に比べると明らかにクールでクレバーなことがわかるのだ。

彼らのクレバーさは、サイト構成を見てもよくわかる。実は「もやい」のサイトには、ホームレスを論じているページがほとんどない。わずかに数行、法人概要に記述されているだけなのである。彼らはホームレスについて、ほとんどまったく説明しない。論じれば外部と衝突を招くことを知っているのだろう。

頭いいな、と思う。ぼくも含め、実に多くの人たちがホームレスについて懸命に説明し、理解されず、苦しみ、悩み、つまづいてきた部分を、彼らは触れないことで見事に回避したのである。その肝心な部分を避けて通ったのだ……。直截にいえば「ズルイ」のだが、「もやい」が世間に支持され飛躍したのは、このことも大きく影響しているにちがいない。尋常ではない異常ともいえる寄付金の額といい、なにか戦略的なマーケティング手法を用いているのだろうか。頭がよすぎる感さえある。

……そこが引っかかる。「もやい」という名とは正反対の、頭はよいが事務的で冷たい印象を持つのだ。少なくとも、ぼくはこの団体にはそういうイメージを非常に強く感じている。良くも悪くも現代的な組織なのだろうな、と思う。頭のよい人たちがたくさん集まって知恵を絞り、方法論を検討し、交渉や広報、相談実務に手際よくあたるのだろう。……だから、手作り感が、ない。旧来の団体が持つ手作りの温かさ、ぬくもりが漂ってこない。機械的でオートマチックだ。そこが、怖いのだ。

関連記事

荒川千住でホームレス逮捕 9月8日の東京新聞夕刊に「ホームレスを逮捕」との見出し。小学生に暴行したホームレスが逮捕された記事だ。7日の夕方、荒川千住の河川敷で遊んでいた3人の小学生に、 「ばかにするんじゃない」 などと怒鳴りながら、殴ったり蹴ったり髪の毛を引っ張ったりして軽い怪我を負わせたという。犯人の男は、 「酒に酔ってい...
川崎市ホームレス自立支援実施計画案... 朝日・読売・神奈川各新聞によると、川崎市が2004~2008年度のホームレス自立支援実施計画案を発表した。緊急支援から自立支援への転換を明確にした。主な施策は次のとおり。 自立支援市民事業 就労支援センター(定員50人) 公園ホームレス対策シェルター(定員200人) パン券事業の縮小・廃止 ホ...
ホームレス自立支援施設で利用制限 「ホームレス自立支援施設で利用制限、入所拒否も/川崎市」と、5月26日付・神奈川新聞が報じた。  川崎市がホームレス(路上生活者)の自立や就労を促進するために設けた施設の利用要件に「市内で三カ月以上野宿していること」との制限を加え、他都市からのホームレスの利用を事実上、約一年にわって門前払いし...
女子大生が焼き打ち「燃やせ!殺せ!」... 「女子大生が焼き打ち「燃やせ!殺せ!」」と、6月7日付・日刊スポーツが報じた。  埼玉県警朝霞署は6日までに、ホームレスの男性が寝ていた段ボール箱の「家」にサラダ油をまき、放火しようとしたとして、東洋大4年の安藤佳南子容疑者(21)ら男女4人を器物損壊容疑で逮捕した。4人は深夜河川敷でバーベキ...
スポンサーリンク