「自立生活サポートセンター・もやい」の窮地・その後

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リプラス破綻で資金援助を受けていた「自立生活サポートセンター・もやい」が窮地に立った話だが、1ヶ月あまりで総額3,400万円以上(!)の寄付が集まったそうで、来年度までの活動には支障をきたさなくなったようだ。よかったね。

しかし、この金額の大きさには、多くのホームレス団体が度肝を抜かれたり腰を抜かしたりしたのじゃないかと思う。ホームレス関連でカンパを集めるのがいかにむずかしいか、ぼくもそうだが経験のある人はご存知だろう。ぼくなどは驚きを通り越して開いた口がふさがらないほどだった。まったく衝撃的な集金能力だ。

たかが1ヶ月でこれだけの資金を集めたとなると、この団体がいかに大きな力を持ちはじめているかがわかる。今後のホームレス支援活動の中心を担ってゆく団体なのだろう。元々は「新宿連絡会」の活動家が立ち上げたもので、ここは有名な西新宿地下街のダンボール村を支援した組織だから、ホームレスのコミュニティを大切にするコンセプトを引き継ぐ。コミュニティを通じてのつながりを重視することから「もやい」の名がついていると記憶している。

ホームレスのコミュニティというものは一般社会と一線を画した存在であるため、別のいい方をすると、外には眼を向けずコミュニティの内部で完結し、ときには外部と対立を呼び起こす世界でもある。「つながる」のはコミュニティ内部でのみであり、外の世界とつながろうとしているわけではない。そこがネットワークとはちがう。

彼らが窓口支援という「待ちの姿勢」から脱却しないのは、おそらくここいらに原因があるのだろう。彼らが「もやい」という名のコミュニティの外に、自ら進んで手を伸ばすことはあるまい。コンセプトから考えれば、おそらくこの「待ちの姿勢」は永続的につづくはずである。

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「もやい」を見ていると、いつも「クールでクレバーな団体だなぁ」と思う。たとえばホームページだ。ふつうのホームレス支援団体のサイトとは明らかにちがう。専門的な話になるが、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)という高度でややこしい最新の技術を用いて作られているから、プロではないにしろその筋に非常に詳しいメンバーが噛んでいるのだろう。ふつうはCMSなんか思いつきもしないので、これだけ見ても従来の支援団体に比べると明らかにクールでクレバーなことがわかるのだ。

彼らのクレバーさは、サイト構成を見てもよくわかる。実は「もやい」のサイトには、ホームレスを論じているページがほとんどない。わずかに数行、法人概要に記述されているだけなのである。彼らはホームレスについて、ほとんどまったく説明しない。論じれば外部と衝突を招くことを知っているのだろう。

頭いいな、と思う。ぼくも含め、実に多くの人たちがホームレスについて懸命に説明し、理解されず、苦しみ、悩み、つまづいてきた部分を、彼らは触れないことで見事に回避したのである。その肝心な部分を避けて通ったのだ……。直截にいえば「ズルイ」のだが、「もやい」が世間に支持され飛躍したのは、このことも大きく影響しているにちがいない。尋常ではない異常ともいえる寄付金の額といい、なにか戦略的なマーケティング手法を用いているのだろうか。頭がよすぎる感さえある。

……そこが引っかかる。「もやい」という名とは正反対の、頭はよいが事務的で冷たい印象を持つのだ。少なくとも、ぼくはこの団体にはそういうイメージを非常に強く感じている。良くも悪くも現代的な組織なのだろうな、と思う。頭のよい人たちがたくさん集まって知恵を絞り、方法論を検討し、交渉や広報、相談実務に手際よくあたるのだろう。……だから、手作り感が、ない。旧来の団体が持つ手作りの温かさ、ぬくもりが漂ってこない。機械的でオートマチックだ。そこが、怖いのだ。

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