見えないものを見るために ~パラダイム転換~

スポンサーリンク

hill

 これは「若い娘と老婆」などといわれる有名なだまし絵である。このひとつの絵の中に、ある人は娘を見、またある人は老婆を見る。見方さえわかれば簡単だが、わかるまでは、
「婆さんだって? 婆さんなんかどこにもいないじゃないか」
「これが若い娘に見えるだなんて、どうかしてるよ」
 などと別の見方を否定し、その存在すら信じないだろう。

 別の視点を発見するには頭のスイッチの切り替えが必要で、こうした「認識の切り替え」を「パラダイム転換」と呼ぶ。別の視点を手に入れることで、眼の前に広がる世界は劇的に変化し、そして広がってゆく。この絵でいえば、娘と老婆、両方を見る視点を持てるということだ。

 これを現実の世界にあてはめてみよう。たとえば若い娘だけを女性だと思っている人は、眼の前の景色の中に老婆がいても、それを女性だと認識することができないだろう。若い娘だけが人間だと考えていれば、老婆を人間としては見ないだろう。逆もまた然りである。一方だけしか見えない人は、もう片方を認識することさえできない。

 ゲーテはいう。
「我々は知っているものだけを見る」
 娘と老婆、両方を知ることで、初めて両方を見ることができるようになる。それまでは片方しか見ることができない。

 マイノリティであっても広く知られている存在の、そのボーダーライン上から下にいる者は、なかなか「そこに在る」ということを認識してもらえないことがある。ホームレスにしろワーキングプアにしろ、マイノリティの中のマイノリティは「眼の前に在る」ということすらわかってもらえない。たいがいは無視、素通り、あるいはカテゴリからの除外である。

 常に新しいパラダイムを求め、吸収し、頭を切り替えて、より多くのものを見ることのできる、多角的な眼を持つことが求められる。人の「進歩」とは「成長」とは、つまりそういうことである。

関連記事

川崎市ホームレス緊急一時宿泊施設「愛生寮」訪問記...  昨日、12月9日午後8時。しつこく降りつづける冷え切った雨を突いて、ぼくは川崎市ホームレス緊急一時宿泊施設「愛生寮」の門をくぐった。まさか、とお思いの方もおいでだろう。あの健次郎がみずから施設に? だが、事実、そうなのである。  ぼくは先日来、とある出来事をきっかけとして、自己支援プログラム...
アメリカ漫画と韓国のホームレス施設... 「EP : end-point  科学に佇む心と体」という科学関係のブログを運営されている雨崎良未さんからのネタをご紹介。 アメリカの有名な漫画に「Doonesbury@Slate」というのがあって、ここに準レギュラーでワシントンのホームレスが登場するらしい。そのAliceとElmontは図書館...
「富士見」シェルター設置へ(川崎)...  19日付の毎日・読売・朝日・東京・神奈川各新聞の地域版によると、18日に開かれた「川崎市ホームレス自立支援推進市民協議会」の第2回会議で、市は川崎区・富士見公園内に公園対策型シェルターを設置することを明らかにした。川崎競輪場東側の市所有地、約2,000平方メートルに、事務・管理棟を含めた2階~3階...
ウィリアム王子がホームレス支援 ジャーニーは9月14日、「ウィリアム王子、母親の遺志を受け継ぎ、ホームレス支援チャリティのパトロンに」と報じた。故ダイアナ元妃が関わっていたホームレス支援団体「センターポイント(Centrepoint)」のパトロン(後援者)となり、母親の遺志を継いだかたちとなった。 王子がこうした慈善団体のパト...
スポンサーリンク