いま

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 写真は新年を2時間後に控えた川崎稲毛神社の参道。数時間後には初詣客でぎっしりと埋まる。去年の大晦日から元旦にかけては、この神社で甘酒をいただき、焚き火などにあたって過ごしたと記憶しているが、今年はその必要がない。

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 今月の初めから今日まで、ぼくがネットカフェにこなかったのは、ひとえにこの年末年始を乗り切るためであった。人間というのは奇妙なもので、いちばんふんばりがきくのはギリギリの状態ではなく、むしろ余裕のあるときなのだ。

 これはもうダメだと這いつくばってみなさんにサポートをお願いしたが、まさに予想もしない圧倒的なサポートをいただいたとたん、もうひとふんばりができるようになる。いつでもネットカフェで休むことができる、ならば今は行かんでもよい、という辛抱がきくのである。食わなくてもへっちゃらだ。いつでも食えるのだから。

 ホームレスにとって年末年始は、一年のうちで恐らく最も厳しい季節である。世間が休みのために、今日を食いつなぐ現金収入を得る手段を失うこともあるが、いちばん大きな問題は「身の置きどころ」だろう。寒さを凌いで身体を休められる公共施設はすべて休業であり、文字どおり行き場を失う。街なかとてふだんは人もまばらなところまでごったがえし、うかうか座り込んでウトウトしてもいられない。

 というわけでいよいよ地獄の年末年始を迎え、いよいよ天国のネットカフェへとやってきた。メシもきちんと食べた。年末年始を路上で寝起きする地獄は、どうやら避けられそうである。みなさんのおかげなり。多謝。

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 こうして久しぶりにパソコンの前に座ってみると、しかしディスプレイを遥か遠くに感じる。その世界でぼくはたいてい武州無宿・健次郎であったのだけれど、長年馴染んだはずのこの名さえ、どこか心にしっくりこない。といって本名など滅多に使わないのだから、ふだんは自分が誰なのかさえ忘れがちである。ぼくは再び名前というアイデンティティを失いかけているのかも知れない。

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 ネットカフェなどというのも実際にはひでぇシロモノで、ただ屋根と壁があるというだけの話で、ゆっくりと休める静寂の空間が確保できるわけではない。今も隣席のペアがベラベラとおしゃべりをやめない。

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 ホームレスに染みつく疲れというのは身体だけではなく、その心にまで及ぶものである。身体中の細胞という細胞の隅々、その奥深くまで澱のように織り込まれ、容易なことでは抜けるものじゃない。

 布団で眠ることができない、といったら多くの人は驚くだろうが、仮に今、眼の前に布団があったとしても、ぼくはその中では熟眠できない。身体が布団というものを忘れてしまっているのだ。

 では硬い床の上で熟眠できるかというとそういうことでもない。結局のところ、2、3時間おきには眼が覚める。あるいはほんのちいさな、そして気がかりな物音で意識が揺り起こされる。休む、ということがない。

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 2007年がぼくにとってどういう年だったのか、もはや記憶にない。過去など過ぎ去った直後で切り捨ててしまわなければ、今を生きられない。むろん、明日さえ知れないのだから、2008年がどうなるかなどわかるはずもない。確かなのは今、この瞬間だけである。今、生きてここに在るという、そのことだけがすべてだ。

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