致命的なまでにすれちがう世界、あるいは淡白さ

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Side A

ルイス・ブニュエルの「自由の幻想」という映画だったように思う。ひとつのエピソードの登場人物が次のエピソードの主人公になってゆくオムニバス形式で、たがいのエピソードには関連性がないという変わったシロモノだが、中でも奇妙なのがこの話である。

ある少女が行方不明になった、あるいは誘拐されたというエピソードだった。最初に事態を知るのは学校だったか親だったか、もちろん騒ぎになる。なるのだが……、実は少女は眼の前にいる。周囲は行方不明になっているはずの当人に状況を尋ねながら、しかし行方不明だという認識で行動するのだ。

捜索を依頼するために警察へゆくと、警官が少女の外見について母親に尋ねる。黙って母親は、そこにいる少女を指し示す。すると、警官は少女を見ながら無線で、「背はどのくらいで、服装はどんなで、髪の色はなにで……」といった指示を出す。まったくバカげた話なのである。

立場をまったく逆にした話には、落語の「粗忽長屋」がある。こちらは行き倒れを友人の熊公と思い込んだ男が、熊公本人に遺体を引き取らせようとするコメディだ。しかも、熊公も「自分が死んだ」と思い込むから、さらに話はメチャメチャになってゆく。

「自由の幻想」の場合、眼の前にいる少女が行方不明だという周囲の認識と、実際には行方不明にはなっていない少女の認識とでは、まったく噛み合っていない。「粗忽長屋」もまた、自分が死んだと思い込んでいる熊公の認識と、困惑する周囲の認識とでは、まるきり接点を持っていない。

ふと思うのだが、ホームレス問題にも、このような状況に似たところがあるように感じられる。致命的なまでの認識のズレが、そこにありはしないだろうか? ひたすら食いちがってゆくだけの、なにかが。

Side B

はじめに衝撃を受けたり、あるいはこのブログを非常に高く評価した人は、たいていの場合、ダメである。ときが経つにつれ「ミッドナイト……」やぼくへの評価がぐんぐん下がり、あるいは飽きられて、ゴミ箱にポイッ! それきりだ。

ほとんどは自らもサイトを持ち、ぼくなどがとうてい及ぶべくもないような、非常に高度な議論を展開している人が多い。議論の中身は、まず決まって政治か社会問題である。そうしてたいていの人が、なんらかの問題(その多くはメンタル面)を抱えている。

つまり、自身になにがしかの問題を抱えながら、政治や社会問題について高度な議論をしている人は、ぼくを発見して近づいてきても、ほとんどが数ヶ月で消えていなくなってしまうのだ。理由ははっきりしないのだけれど、おそらく期待はずれだったということなのだろう。

最初は関心が高いせいか親密であろうとさえするが、時間が経つと手のひらを返したように、突然、無関心になってゆく。当初、語られたことばは、そのときにはもう意味すら持たなくなっている。約束、というほどではないにしろ、高らかに宣言されたことどもは、すべて無残に、そして実にあっさりと忘れられ、なかったことにされてしまうのだ。

これは人間関係などと呼べるシロモノではない。老若男女を問わず、ネットにおける人間関係は、非常に淡白である。淡白で無責任だ。無責任でいい加減である。ついでにデタラメだ。

せめて、自分がなにをいったのか、忘れるべきではない。口に出した以上、本来はなんとしてもとことんやり抜くべきなのである。そのときどき、単に気が変わったからといって過去をなかったことにしてしまうのでは、いったいなにを信頼させることができようか。それでは単なるウソつきであろう。

おのれのことばを裏切るべきではない。それは自分自身を裏切ることである。信頼はまず、自分自身に対して寄せられねばならない。自分のことばを裏切るな。せめて自分自身に対しては。

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