いまだ哀しみを知らぬ者たちに捧ぐ

スポンサーリンク

ホームレスとは、生きる哀しみを心に刻み込んだ者たちのことである。

あなた方がもしもいまだ哀しみを知らぬ生を送っているのだとしたら、ホームレスのうちに宿る一片の哀しみを探し出すがよい。探し出して、身にまとうがよい。あなた方が知るべきは哀しみである。あなた方は弱過ぎる。哀しみを知らぬがゆえに。

自己責任だの自助努力だのセイフティネットだの自業自得だの屁理屈を並べる前に、他者の哀しみを見つめることのできぬおのれの弱さを知るがよい。もしもあなた方が哀しみをその身にまとっていれば、その心に哀しみを刻みつけていれば、このような弱きことばなどに頼らず、強い心を以ってその哀しみを見据えることができるだろう。

ホームレスを見て、その胸の奥底を詰まらせてみるがよい。ホームレスを見て、その頬にひと筋の涙を伝わらせてみるがよい。それができぬのは、哀しみを知らぬ弱き心だからである。弱き心であるがゆえ、人の哀しみを見つめることができず、おのが心を守ろうとし、愚にもつかぬ屁理屈を唱えるのだ。もしもあなた方が強き心であったなら、おのが心を守る前に、まず人の哀しみを見つめることができるだろう。あなた方はあまりに弱過ぎる。

弱き者たちよ。哀しみを知り、哀しみに胸詰まらせ、哀しみに涙し、哀しみを抱き締め、そして強くなれ。ほんとうの強さとは、哀しみを知ることからはじまる。哀しみとは愛だからである。愛を知らぬ者は弱い。それだから、愛を知って強くなれ。

関連記事

J.BOY/浜田省吾 J.Boy 掲げてた理想も今は遠く J.Boy 守るべき誇りも見失い (J.BOY/浜田省吾) 浜田省吾のファンというわけでもない。まぁ、だいたいぼくはあまり音楽に馴染みがなく、なにが好きかと訊かれて答えに窮し、つい浜田省吾と答えてしまう程度のものだ。それが先日ブラブラしていると、「愛の世代の前に」...
ある引っ越しにて ぼくは途方に暮れたまま、呆けたように立ち尽くしていた。あらかたの荷物はトラックに積み込んだが、洗濯機だけがどうしても動かせないのだ。中はほとんど空っぽのくせに、底のほうに重たいモーターかなにかが詰まっているのだろう。低重心でひどくバランスが悪くて、ひとりで運ぶには重過ぎるのだった。 十年以上前の...
武州無宿・健次郎はなぜブログを書くのか?(続)... 先日、知人に聞いたことが、改めて「やっぱりなぁ」であった。このブログでいちばんおかしいのは、やはり作者がホームレスということなのだ。ホームレスなんだから仕事すればいいじゃん、俺たちこんなに苦労してがんばって仕事しているのに、ホームレスがよりによってなんでブログなんか書いているんだ、ふざけやがって……...
路上の償い ぼくはよく自分を悪党と呼ぶが、これは悪党だからそう呼ぶのであって、善人のぼくがホームレスになったわけでは決してない。だからこの話を書くことにしたのだが、ぼくはたとえば家の金を使い込んだことがある。金庫を開けて家人の金から幾枚かの札を抜き取ったときには、みずからショックで目まいを起こし、その金を前にし...
スポンサーリンク