ネットカフェ難民報道(プレミアA)

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 メディアが騒ぐとこのブログの訪問者が増えるのですぐにわかるのだが、7月15日の「プレミアA」とかいう番組では、またぞろネットカフェ難民の特集を組んでいたそうである。見ていないので内容はよくわからないけれど、特定の取材対象者を追い込んでいったものらしい。

 いくつかのブログでこの番組を取り上げているが、肯定的な意見が少ないところを見ると、取材対象者の選定が悪かったのかも知れない。「暇過ぎNEET(仮)の大冒険 in 数学島: することも無いので、」では、次のように語られる。

彼らは社会のsafety netについて調べたのだろうか?
ただ漫然と周りの環境の変化に振り回されていただけではないか?
真面目に生きている振りをしていただけではないか?
状況を変えるために何かをしているのだろうか?

経済的環境の変化によって大きなdamageを受けたものもいるだろうが、経済的環境が変化しないと勝手に思い込んでいたつけが回っているだけにしか見えない。自ら助かろうとしない者をどうして助けることが出来るのだろうか?

fail safeは大切だと思うが、各々が経済的主体であることが条件であろう。経済的に生きていないものはマーケットから立ち去るべきである。

 自助努力と自己責任を前提としたネオリベラル的な意見の代表であろう。近ごろはこの種の考え方が老若男女、蔓延していて、それだから自殺者が年間3万人を下らない社会が構築されつづけてもいるわけだ。

 自殺者は「自ら助かろうとしない者」の代表といってよく、それだから「あなたとホームレスとのつながり」で触れた娘のように、
「死にたいっていうんだから放っとけばいいじゃんねぇ」
 という意見につながってゆく。

「助かろうとしていないのだから助けられない」? あるいは「助ける必要がない」? 凍りついた河に誤って転落し、河岸から投げられた浮き輪に自力でつかまることができない人間を、
「自ら助かろうとしない者」
 と呼べるのかどうか。

幸いにも同ブログの管理人さんは、
「やはり、この意見は厳し過ぎる・・・」
 とおっしゃっているのだけれど、では他の人はどう思うだろう。

 逆に、同番組に登場したネットカフェ難民に親近感を持ったらしい人が「ふたたび、のらりくらり : 派遣社員」の管理人さんである。

1年間の契約社員として働いてる自分からすると、全く同じ気質の人達ばかりで、何ら違和感が無かったです。否、自分と同じ歳の人なんか、達観している感じで、自分なんて全然甘ったるいですね。(格差社会は)金持ちとか貧乏であるとか関係なく、上昇志向(または世間体)の強い人が煽っているだけでしょう。誰でもそんな気持ちは、多少なりともあるに違いないですが、無理しても仕方無いですよ。

 達観というか、諦観に近い。これから先、ネットカフェ難民に対するメンタルなサポートがおこなわれるとすると、まず「やる気を起こさせる」などといって、ニート問題のときのように職業訓練といった対策が取られる可能性も高いが、これもネオリベラル的な発想であり、本人の現在レベルで最低限度の生活が保障されてもよいはずではある。このあたり、いつぞや触れた「フリーターがフリーターのままで生きてゆける社会」ということにつながってゆくと思う。

Daru: プレミアA ネットカフェ難民」では、番組のコメンテーターの意見に触れている。

櫻井さんと安藤優子が声をそろえて
「なにか目標をもって、人生の荷物をしょって生きてみたらどうだろうか?」
とコメントしていましたが、
うむーなんともバリバリのキャリアウーマンの2人だから言えるコメント。

その後、解説のオッサンが
「なるべくして難民になっている人と、ならざるを得なくなってしまった人とがいるわけだから一概に全員が人生から逃避してああいう立場に甘んじているわけではない」
というようなナイスフォローをしていましたが、

 ふたりのアナウンサーだかコメンテーターだかキャリアウーマンだかは、ちょっと想像力が足りないのだろう。ものごとを一面からしか見ておらず、視野が狭い。その点を解説のオッサン(?)は心得ていたようだ。

 しかし、こうなってくると、そうした対照的なタイプを対比させる番組を作ることが、そのちがいをいちばんはっきりとさせる方法なわけだが、これはまた一方で差別を生み出すから面倒だ。ホームレスの問題でもありがちな、「あの人は助けるがあいつは助けない」という差別化である。差別化されて分断され少数になってゆけばゆくほど、問題が見えにくくなってスポイルされてしまう。あくまでも全体の中で区分する、ということが必要なのだろう。

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