「ネットカフェ難民2」(NNNドキュメント’07)

スポンサーリンク

24日深夜(25日未明)あたりからアクセス数が異常に上がっていたので「さては……」と調べたところ、案の定、ネットカフェ難民関連のテレビ番組が放映されていた。それも2本である。1本目は日本テレビの「NNNドキュメント’07 ネットカフェ難民2」。もうひとつはフジテレビの「ネットカフェ漂流」だ。

動画サイトを探すと、日テレのほうは非公開とされていて前半しか見られず、フジのものは見つからなかった。もしも動画がアップされることがあれば、詳しいことはそのときにまた書くけれど、今は日テレのものの前半部分を見た感想など。

これは1月28日に放映された番組の続編だそうだが、その番組も動画サイトには見つからず、当然ぼくは見ていないのでよくわからないのだけれど、ともあれ今回登場するのは42歳のカズオさんというネットカフェ難民である。ここへきて、ようやく中年のネットカフェ難民にスポットを当てたわけだ。

ストーリー自体はありがちといってよい。5年前に出稼ぎで上京したカズオさんはその後、日雇いというだけでアパートを追い出され仕送りもできなくなり、妻と子供とも音信不通となった。現在は日雇い派遣で糊口を凌ぎ、ネットカフェに寝泊りする日々を送る。40を過ぎると仕事も少なく、せっかく得てもドタキャンされてしまう。

この2日間で食べたものがパンだけ、残金が100円に満たないような日さえある。ネットカフェに泊まるお金がなければマック難民(ハンバーガーショップ難民)となり、マック難民にさえなれなくなると公園のベンチで寝る。襲われたりすることを恐れて横にはならず、座ったままで眠る。

番組を見ているとかなり風が強く、これでは寒くて眠れないだろうと思う。日中の暑さからは想像もできないだろうが、深夜は思った以上に寒く、風が吹くとさらに体感気温が下がり、うっかりすると風邪を引くぐらい冷えるのだからね。実は、とてもじゃないが眠れたものじゃないのである。

そうでなくとも路上で寝ると「蚊との戦い」という凄まじい戦争が待っていて、準備がなければ、場合によってはひと晩に10~20匹ぐらいの蚊をブチ殺さねばならない。暗くてほとんど見えない中、ウトウトしたころブ~ンとやってくるのを、止まったかと思う間もなく勘でビタンッとやっつけるのだ。寝ているヒマなんぞないのである。それでも朝にはあちこち刺された痕をかきむしり、手なんぞは血だらけになっていて、夜中の攻防の凄まじさを改めて知るわけである。

余談が長くなったが、とにかく番組はカズオさんの生活から日雇い派遣の実情へと移り、労働者を都合よく食い物にして成長する派遣業者の実態や、対する労働組合が異議を唱えてゆく様子を映し出すのだけれど、まぁ前半はここで終わってしまったので、あとは知らない。

それにしてもこのカズオさんという方は、いかにも温厚、素朴で人が好さそうであり、だからこそネットカフェ難民なのかとさえ思わせる。自身がネットカフェ難民でありながら、mixiのコミュニティで同類の相談にも乗っていたという。労働組合の役員も務めていたらしいが、そうでなくとも世話好きであったのだろう。

番組を通して観た人の感想を読むと、しかしこの方、仕事が得られずお金もなくなってついにホームレスとなり、最後は施設に入ったという。まぁこのあたりが「ひとりで動ける人」、あるいは日雇い仲間や労働組合とつながりを持つ人の結末なのだろうと思う。そうでなければくたびれ果てた末、ホームレスのままであった可能性も高い。

現在、ネットカフェ難民ということばは、ホームレスとはちがうものとして使われる傾向があり、それには「若者で日雇い派遣労働者」という縛りがあるようだけれど、日雇い派遣には中年もいるわけで、若者だってすぐに中年になるわけであり、そうなれば仕事がなくなってすぐにホームレスへの道が待っているのだから、こんなもの区別してもしようがないのじゃないか。

欧米の先進諸国におけるホームレスの定義が、ドイツのホームレス生活者扶助連邦協議体(BAG-WH)による、
「ホームレス生活者とは、賃貸借契約によって保証された住居をもたない人」
ということばに集約されているとおり、肝心なのは日雇い派遣どうこう以前に、まず住居がないことなのだ。

「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」
などと悠長なことをいっている日本でも早くこの定義を用い、公園に寝ていようと河川敷にいようと、車上生活をしていようと友人宅を渡り歩いていようと、ネットカフェに泊まろうとマクドナルドで夜を明かそうと、そして日雇い派遣だろうと正社員だろうと、すべてホームレスとして救済措置を施し、まず住居をという、いわゆるハウジング・ファーストの施策を徹底するべきじゃないのだろうか。

日雇い派遣であるがゆえの若者がネットカフェに寝泊りするから、ネットカフェ難民なのではない。若いために(日雇い派遣であっても)収入を得られ、(ネットカフェだろうとなんだろうと)屋根のある場所に泊まることができるからネットカフェ難民なのだ。仕事が途切れ手持ちが尽きれば即日、待ったなしで路上生活となる。これがホームレスでなくていったいなんだというのだ?

おかしな分類はやめておくがよい。両者のあいだに境界線は存在しない。ネットカフェ難民とは、若いホームレスが日雇いの派遣仕事を得て、ドヤ(簡易宿泊所)を使わずにネットカフェに寝泊りしているというだけのことに過ぎない。それは、単にホームレスの一形態なのである。

関連記事

「ネットカフェ難民ブログ」の顛末 「ネットカフェ難民ブログ」というのがあって、これはなんらかの事情でアパートを追い出された元ニートの女性が、ネットカフェ難民としての日々をリアルタイムでつづるという、まさに時流に乗ったブログである。 管理人さんは幸いにして難民生活1ヶ月に満たないうちに友人宅に世話になることができ、現在はネットカフェ難...
インサイダーとしてのネットカフェ難民... 代表的なネットカフェ難民の当事者ブログには、 堅紳とハムとにゃんの大冒険~人生という大海原で奮闘する航海日誌~ ネットカフェ難民ブログ おかまネットカフェ難民生活記録 といったものがある。1番目はテレビのネットカフェ難民特集でシュウジさんとして紹介されていた人のブログで、その影響からか一時はひど...
「ネットカフェ難民 「しんどい」と訴える妊婦まで」... 釜ケ崎支援機構が大阪市の委託でおこなった調査を「<ネットカフェ難民>「しんどい」と訴える妊婦まで 100人の実態調査」(毎日新聞・2008/05/22)より。 ◇妊娠「部屋を借りたい。しんどいよ」  30代前半の女性は派遣会社に登録し、午前8時から午後5時15分まで働く。時給800円。高校卒...
’07参院選 選風 ネットカフェ難民 1畳の暮らし 1票遠く... 「’07参院選 選風 ネットカフェ難民 1畳の暮らし 1票遠く」と、6月30日付・東京新聞夕刊が報じた。  今月下旬の夜、ネオンが輝く東京・新宿の歌舞伎町の一角。24時間営業の「ネットカフェ」に出入りする人に、背広姿のグループがビラを手渡していた。  「何か困ったことはありません...
スポンサーリンク