眠りを拒絶するベンチ(その1)

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 岡本太郎の作品に「座ることを拒否する椅子」というものがあって、川崎市市民ミュージアムにも所蔵されているが、これは座面にいろいろなものが彫られていて、平らでもなく柔らかくもなく、およそ座り心地のよい椅子ではない。がしかし、これは芸術だからそれでよい。

 写真は同館の玄関脇にあるベンチ。むろん岡本作品ではない。横になることができないように仕切りがついているけれど、もともとこのベンチにこんなものはなかった。近年になって同館が誇らしげにつけた、アトヅケのシロモノなのである。

 岡本太郎をもじれば、さしずめ「眠りを拒絶するベンチ」だが、ホームレス対策というその発想がなんともイヤラシイ。仮にも芸術と関わる場所にこのようなものを作ったとあっては、今は亡き御大もさぞや呆れ果てていることだろう。

 ホームレス対策ということで、こうした仕切りを持つベンチが非常に増えたけれど、これを最初に考え出した奴は、ベンチで眠らざるを得ない生活を送る人間の苦しみを考えたことがあるのだろうか。おそらくよいアイディアだと喜んだことだろうが、被爆者の苦しみを考えずに原爆を作り出した科学者と変わらぬ心ではないのか。発想そのものがあまりにも醜く情けない。人間の風上にも置けぬ輩だと感じる。

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