「ネットカフェ難民ブログ」の顛末

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ネットカフェ難民ブログ」というのがあって、これはなんらかの事情でアパートを追い出された元ニートの女性が、ネットカフェ難民としての日々をリアルタイムでつづるという、まさに時流に乗ったブログである。

管理人さんは幸いにして難民生活1ヶ月に満たないうちに友人宅に世話になることができ、現在はネットカフェ難民を脱した模様で、管理人さんがネットカフェ難民であるというプロフィールを含めこのブログの内容が事実であれば、まずは当面はひと安心といえるかも知れない。もちろんこの種の事情に詳しい人は、これが決して安心できる状況でないことはご承知だとは思うけれども。

興味深いのはコメント欄だろう。日雇い派遣(ワンコールワーカー)で働く他の人が顔を出したり、彼らを雇おうとする人が出てきたりと、短期間のあいだに大きな盛り上がりを見せた。管理人さんの人柄もあってか、多くは「がんばってッ!」と応援し、早期の難民脱出を願うコメントである。かくいうぼくもそのようなコメントを残してきた。

しかし、そうした人たちにも複雑な思いがある。典型的なコメントをひとつ、引用する。

ずっと見てるけど、こんなにアドバイス受けても難民さん本人がやる気なきゃ意味ないよ。リゾート地のバイトだって、どれだけある?派遣もいくらでもあるさ。選んでる余裕があるわけか?場所が、人が、給料が~なんて言ってる場合かよ!友達の所で休める日にまで、わざわざネットカフェ来たところで偉いと思えない!お金大事だろ!余裕ある行動じゃないか?助けてくれる行政も知っているようだし、モヤイを知っていながらなぜ相談しない?いつまでも、毎日毎日みんなが頑張れとコメントして、いつまでも難民さんは変わらない。みんなのアドバイス意味ないよ。キツいけど、そうだろ?行政だ、実家だ、派遣だ、寮だと…もうアドバイスは十分。行動するのは自分だ。今の生活嫌なら行政に相談してみろよ!それでも続けるなら好きでこの生活してるんだから、励ます必要ないよ!(荒波)

そう、変化、だ。応援する側は、常に変化を求めている。それも、自分の望む方向への変化である。「こうなって欲しい」という願い。けれど相手は変わらない。すると、裏切られたという思いとともに、やがてこのような怒りにも似た感情を抱くようになる。相手の事情に対する無知ということもあるし、また相手の事情を思いやることのできない現代人の特質ともいえ、それを一概に非難はできないにせよ、だ。

けれど、ほんとうの応援とは、「そのままのあなたでオーケーだ」ということを伝えることだったはずであろう。「自分はまちがっている。なんとかしなければ」と自分の現状を否定(=自己否定)している者に、「そのとおりだ。あなたの現状はまちがっている。ぼくらのいうとおりにしろッ!」というのは非難でありこそすれ、実は応援でもなんでもない。カウンセリングを勉強したはずのぼくも、うかつにもこのようなまちがいをしでかしてしまった。他者にオーケーを出すのは難しいものだと感じる一幕だった。

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