ネットカフェ難民報道(スーパーJチャンネル)

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 4月12日放送のテレビ朝日「スーパーJチャンネル」で、ネットカフェ難民の特集があったらしい。「フィギュア萌え族(仮)犯行説問題ブログ版・サブカル叩き報道を追う」によれば、以前に評論家の大谷昭宏がメチャクチャな若者バッシングをしていた他番組のビデオを使いまわし、新たに映像を加え編集して、なにやら論調が180度変わったそうだ。ほんとうに論調が転回したかどうかはさておき、まずは内容のご紹介を。

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 順を追って見てゆこう。(注:YouTubeの動画が差し替わり冒頭部が抜け落ちたため、内容が一部ちがっています)

 冒頭に登場する若者ふたり。
「落ち着きますね。癒されます」
「暇つぶしの空間、夢の楽園ですよね」
 といっているふたりは、これは単なる利用者であろう。ネットカフェ難民ではあるまい。

 次に顔を隠して登場する28歳の男性。彼がネットカフェ難民らしいのだが、
「ホームレス予備軍、ですかね……」
 とのコメント。のちに詳しく紹介されるのだけれども、実は彼は6年ものあいだ、ネットカフェで生活している。帰ることのできる家があるのかどうかは明らかにされないのだけれど、予備軍ではなく、これはもうすでにホームレスなのだ。「自分はまだホームレスではない」というその認識が、彼をかろうじて一般社会に結び付けているようでもあり、なんとももの悲しい現実を見る。

 こののちアホっぽいディレクターがシャワールームを紹介し、
「だ~れが使うんですかねぇ~~~???」
 などとアホぶりを発揮しまくっているが、もちろん利用者が使うんです。これはネットカフェ難民だけでなく、もちろん一般の利用者も使う。終電のなくなったビジネスマンが泊まり、シャワーを浴びているのなんかよく見かけるよね。

 ナレーションと共に店内の映像が流れるが、ひとり、テーブルに足を乗せてお休みになっている方がいらっしゃる(笑)。個室だと確かにありうるし、事実そういう形跡を残して帰る利用者もいるけれど、そう多くはないと思う。少なくとも、個室ではないオープン席でこういうことをする利用者はまず見かけない。もっとも、自分の出したゴミを片付けもせずに帰る利用者もいて、清掃の行き届いていない店だとあとの客が片付けることになって、これがはなはだ頭にくるのだが。

 次は、ひげ面の40代男性。現場作業員で朝、ネットカフェから現場へ直行するらしい。つまり宿泊が目的なのだけれど、こういう人は非常に多い。家のあるなしには触れていないので、今日だけのことかも知れない。これをもってネットカフェ難民とはいいがたい。

 次が冒頭に登場した、28歳の若者だ。スーツ姿で一見ふつうのビジネスマンだが、彼は6年間に渡ってネットカフェを巣としている。大学卒業後、正社員に採用されず、派遣仕事をしているという。食費は1日1,000円未満。3食取ることは、最近ではほとんどないらしい。しかし、ネットカフェで調理する割高なカレーを食べているナ(笑)。おまけにかたわらにはビールが……(爆)

 ま、年収100万円台前半~250万円前後というのならば、その程度は許されて当然だろう。ほんの、憩いのひとときなのだ。2~3週間も仕事がないこともあるというから、そのときはギリギリに切り詰めているにちがいない。

 それにしてもネットカフェに寝泊りしている理由を「仕事の現場に近いから」という説明は、いかんせん納得しがたい。
「この先どうなるかわからない。その不安が、彼の心と身体をこの場所に縛り付けているのかも知れない」
 などといい加減なナレーションは語るのだけれど、彼に帰る家があるのかないのか、家族との関係はどうなっているのか、それを明らかにしなければ、ほんとうに単に「仕事の現場に近いから」などという理由でネットカフェを巣としているのかどうかはわからないだろう。問題を抱えている人間は、容易に本音を口にしない。この報道は、明らかに踏み込みが足りない。

 なんだか年収数千万円ぐらいあるであろう厚生労働省の親分が出てきて、国会でなにやらいっているが、こいつらには死んでも理解できないであろうから捨ておくとして、次の登場人物は親の虐待から半年前に逃げ出した、19歳の家出少女だ。現在はショップ店員で月収10万円というネットカフェ難民。
「お金、ないですよ。死ぬ寸前ですよ」
「今日、交通費出たんで助かりました」
 といい、その5,120円が全財産だという。

 なにやらそのほかにもゴチャゴチャいうのだが、悪いけどこの娘、ヤンキーふうでどうにもバカっぽい(苦笑)。虐待、ということからわかるとおり、彼女にはそうなるだけの家庭環境などの背景があるはずなのだけれど、専門家でない限り、この映像からそれを想像するのは困難を極める。はっきりいって、一般の人がこの娘に共感を覚えることはまずないはずだ。番組とてそれを承知のはずだけれども、あえてこの少女を持ち出した理由は? 単に取材対象が彼女しかいなかったのか、あるいは意図的か……?

 下記、3月7日放映の日本テレビ「NEWS ZERO」報道とは素材もちがい、コメントこそ行政府批判に向けてはいるが、やはり根本の部分でテレビ朝日の姿勢は「ネットカフェ難民バッシング」にあるように見受けられる。実は2月、「ネットカフェ難民・ワーキングプア・ホームレス」のコメント欄でテレビ朝日から取材の依頼を受けているのだが、断ってよかったよ。いや、ほんとうによかった。マスメディアは怖いよね。

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