二分化されてゆく社会意識

スポンサーリンク

ニートが社会問題として注目されはじめたとき、彼らを訓練して社会参加させてゆく議論がもっぱらだった。「若者自立塾」などというのはその集大成で、ニートや引きこもりの子たちを社会参加させてゆく試みが、厚生労働省主導で現在もおこなわれている。

ところがその一方で、たとえばフリーターなどの議論で最近耳にすることに、「フリーターのままでも生きてゆける社会の実現」といった方向性がある。『フリーターにとって「自由」とは何か』(杉田俊介/人文書院)の著者も同様のことを語っているが、個人の現状を肯定してゆこうという方向であるのだろう。

ホームレスにもやはりおなじようなことがあって、「ホームレス文化」の小川てつヲさんなどは、悲惨と思われがちなホームレス生活の中に文化的な豊かさを見出すという肯定的な視線で、ホームレス問題を語りつづけている。

格差社会ということばが巷を跋扈(ばっこ)しはじめて久しいが、ネオコンだかネオリベだかの新自由主義者たちの口癖である「自己責任」と「自助努力」によって現在の社会に参加してゆくことを目指す方向と、いやむしろ問題とされている個人の現状を肯定してゆこうとする方向と、人々の考え方もまた二極化し、意識上にもある種の格差が生まれ、進行しつつあるような気がする。

この二極化が進むとどのような社会がおとずれるのか。一方は幸せを感じる余裕もなくがむしゃらに働いて、あわよくば左うちわの生活をもくろむのか。あるいはもう一方は、貧乏であっても精神的に豊かで幸せな生活を送るのか。

数量的に拮抗する、あるいは無視できぬほどに増えれば、社会そのものが大きくシフトする可能性はあるが、これもまたあまり現実的な話ではないかも知れない。むしろ、上へも下へも身動きが取れない中間層が肥大化しつつあるのが現実か。

関連記事

格差社会メモ もうあまり社会問題には言及したくないのだけれど、もうずっと以前から「格差社会」というのが話題になりつづけているし、最近も取材の申し込みなんかを受けたし、ますます盛り上がりを見せているようなので、関連事項をちょっとだけメモ。 「自己責任だから自助努力でなんとかせよ」という新自由主義者(ネオコン?...
藤沢市がニート・フリーター対策「レッツしごと塾」... ニートやフリーター対策に藤沢市が「レッツしごと塾」なる若者支援事業をはじめるのだと、8月19日付の日経新聞が報じている。講演会やカウンセリングを中心に、当事者だけでなく親を対象とした個別相談会なども実施するそうだ。ハローワークの就職面接会にも参加するという。若者の現状は「地域社会にとっても大きな損失...
「ニート」支援マニュアル(工藤啓)... 「ニート」支援マニュアルPHP研究所工藤 啓(著)価格:¥ -発送:通常24時間以内に発送発売日:2005-11-12Amazon.co.jpで詳しくみるby Amazy 先日、書店をウロウロしていて見つけたニート本。新刊のようだ。著者の工藤啓さんというのは「育て上げネット」の親玉だろう。 手に取っ...
格差と不平等 7月28日付・東京新聞夕刊で、同志社大学ビジネススクール教授の浜矩子さんが、「格差と不平等を読む」という記事を書いている。書店店頭の平積みが、かつての「激動の時代を生き抜くサバイバル本」から「格差と不平等の本」へと変わりつつあるという。人々の意識が、「なぜこういう社会になったのか?」という原因に向か...
スポンサーリンク