二分化されてゆく社会意識

スポンサーリンク

ニートが社会問題として注目されはじめたとき、彼らを訓練して社会参加させてゆく議論がもっぱらだった。「若者自立塾」などというのはその集大成で、ニートや引きこもりの子たちを社会参加させてゆく試みが、厚生労働省主導で現在もおこなわれている。

ところがその一方で、たとえばフリーターなどの議論で最近耳にすることに、「フリーターのままでも生きてゆける社会の実現」といった方向性がある。『フリーターにとって「自由」とは何か』(杉田俊介/人文書院)の著者も同様のことを語っているが、個人の現状を肯定してゆこうという方向であるのだろう。

ホームレスにもやはりおなじようなことがあって、「ホームレス文化」の小川てつヲさんなどは、悲惨と思われがちなホームレス生活の中に文化的な豊かさを見出すという肯定的な視線で、ホームレス問題を語りつづけている。

格差社会ということばが巷を跋扈(ばっこ)しはじめて久しいが、ネオコンだかネオリベだかの新自由主義者たちの口癖である「自己責任」と「自助努力」によって現在の社会に参加してゆくことを目指す方向と、いやむしろ問題とされている個人の現状を肯定してゆこうとする方向と、人々の考え方もまた二極化し、意識上にもある種の格差が生まれ、進行しつつあるような気がする。

この二極化が進むとどのような社会がおとずれるのか。一方は幸せを感じる余裕もなくがむしゃらに働いて、あわよくば左うちわの生活をもくろむのか。あるいはもう一方は、貧乏であっても精神的に豊かで幸せな生活を送るのか。

数量的に拮抗する、あるいは無視できぬほどに増えれば、社会そのものが大きくシフトする可能性はあるが、これもまたあまり現実的な話ではないかも知れない。むしろ、上へも下へも身動きが取れない中間層が肥大化しつつあるのが現実か。

関連記事

ネットカフェ難民を追う者たち ■4月27日 この調査が新聞記事になっているので追記しておく。「ネットカフェ:生活の拠点にする若者、全国に拡大」(MSN毎日インタラクティブ)。 個人加盟の労働組合、首都圏青年ユニオン(伊藤和巳委員長)などが10都府県のネットカフェで実態調査したところ、すべての都府県で、ネットカフェを生活の拠点に...
取材、記事にならず(苦笑) 「取材という名の突発的事件」で触れた件が新聞記事になったようだ。12月23日付の朝日新聞、別刷りの「be」という紙面である。  とはいうものの、ぼくのことは一切書かれていなかった。取材の翌日以降、朝日新聞からのアクセスがまったくなくなったので予想通りだったのだけれど、なんとなくホッとしたよ...
藤沢市がニート・フリーター対策「レッツしごと塾」... ニートやフリーター対策に藤沢市が「レッツしごと塾」なる若者支援事業をはじめるのだと、8月19日付の日経新聞が報じている。講演会やカウンセリングを中心に、当事者だけでなく親を対象とした個別相談会なども実施するそうだ。ハローワークの就職面接会にも参加するという。若者の現状は「地域社会にとっても大きな損失...
「ネットカフェ難民 「しんどい」と訴える妊婦まで」... 釜ケ崎支援機構が大阪市の委託でおこなった調査を「<ネットカフェ難民>「しんどい」と訴える妊婦まで 100人の実態調査」(毎日新聞・2008/05/22)より。 ◇妊娠「部屋を借りたい。しんどいよ」  30代前半の女性は派遣会社に登録し、午前8時から午後5時15分まで働く。時給800円。高校卒...
スポンサーリンク