明るく元気で前向きにガンバる

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やーど~もぉ。武州無宿の健次郎でゴザイマス。健ちゃんと呼んでくださいネ。

いやーこれでも毎日なかなかたいへんなのですが、いやー空き缶集め、いやービッグイシュー、いやー交換日記、いやー炊き出し、いやーお付き合い、いやーなかなかどうして実行はむずかしく、食うや食わずってなモンですが、いやーこんなんでへこたれちゃァ世間さまに顔向けできねェ。

いやーやはりこの~明るく元気に前向きでですね、ボロは着てても心はニシキゴイってぐれェですから、いやーそりゃもうガンバッてゆかなくちゃァいけませんてんで、日々これガンバリまくりでゴザイマスですよ。えぇ、そりゃァもうガンバッてんですから、みなさん、応援よろしくお願いシマス。

えーやはりですね、明るいのがいちばんってんで、人間、明るくなきゃァいけませんですねェ。暗いのはダメです、ほんと。暗くなっちまいますから。あたりまえですが。やはりですね、元気であること。状況に関係なく元気いっぱいッ! これが長生きの秘訣ですな。そしてなんといっても前向きですな。人間は前向きでなけりゃァいけません。後ろ向きだとすっころんでしまいますから、前向きがいちばんというわけです。ですからここはひとつ前向きにですね、やはりこのーガンバらなきゃァいけません。そうです、ガンバッておりますよぉッ! うおりゃぁ~ッ! ちぇすとぉ~ッ! アチョ~ッ!

いやーなんといっても自己責任の時代、自業自得なんで、これはねアナタ、ガンバることがいちばんなわけでしてね。ガンバッているホームレスッ! いいですねェ、かっこいいッ! 明るく元気で前向きなホームレスッ! いよ、大統領ッ! 音羽屋ッ! って、これは歌舞伎ですけどね、いやーこの健ちゃんにも応援よろしくお願いしますですよ、ほんとに。

いやーそれにしても明るく元気で前向きにガンバッているホームレス、いいですねェ。こう、はつらつとしてきますねェ。こりゃァ21世紀を生き抜くためのキーワード、いや史上最大の発見といってもよいでしょうねェ。やはりこのーホームレスは明るく元気で前向きなのがいちばんってんで、明るく元気で前向きじゃねェホームレスはホームレスじゃねェってぐらいですからね、ほんとうに。

いやーとにかくこの武州無宿の健ちゃん、日々これ明るく元気に前向きでガンバッておりますんで、ぜひとも応援よろしくお願いします。いやー重ね重ねよろしくどうぞ。

前向き、という考えがどうも苦手だ。明るく元気でガンバッて、といった心を追いかけてゆけない。暗くて後ろ向きで湿っぽくてもいいのじゃないか、とも思う。

本来、人間は両方の資質を持っている。人生の片隅でゆっくりと横になり、じっくりとこの世界に思いをいたすことと、立ち上がってはつらつと駆け抜けてゆくことは、ひとりの人間の中に平行して存在するものだ。前向きがよくて後ろ向きが悪い、明るいのがよくて暗いのが悪い、といったことではない。人間が生きてゆくには双方が不可欠なのである。

みんなが明るく元気で前向きな世界であったら、これほど住みにくく薄っぺらなところはないだろう。そこいらじゅうの奴らがはつらつとして、いつだって元気いっぱい。悩み抜くこともなく倒れることさえ知らない世界。誰もなんにも考えず、すぐに「元気を出してがんばりましょうッ!」が合言葉とくる。誰かが疲れても気持ちの置き場がない世界。俺は疲れてるんだよ、ベイビー。

たまには後ろ向きになりなさい。湿っぽくなりなさい。暗くよどみなさい。疲れろ。倒れろ。悩め。苦しめ。泣け。叫べ。その体験を踏まえてこそ役立つ前向きなのだ。元気なのだ。明るさなのだ。

前向きは輝きを生むが、深く掘ることはしない。後ろ向きはそれを補い、深みに達するための資質である。人生は、正と負のせめぎ合いの中に生きてこそ深まり、光り輝く。一方に偏っているのだとしたら、それは人間の片方しか体験していないことになる。

前向きである前に、まず徹底的に後ろ向きになれ。ただのノーテンキは大嫌いだ。

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