J.BOY/浜田省吾

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J.Boy 掲げてた理想も今は遠く
J.Boy 守るべき誇りも見失い
(J.BOY/浜田省吾)

浜田省吾のファンというわけでもない。まぁ、だいたいぼくはあまり音楽に馴染みがなく、なにが好きかと訊かれて答えに窮し、つい浜田省吾と答えてしまう程度のものだ。それが先日ブラブラしていると、「愛の世代の前に」という大昔のアルバムが投げ売りされていて、これまたどうしたものか、ひょいと手に取ってしまったのだった。

取り立ててうまくもないこのアーティストのいったいどこが、なぜこれほどに人の魂を揺さぶるのかまったくわからない。背もたれを倒し、夜更けたネットカフェの薄暗い天井を眺め、やがて眼を閉じた。きつく眼を閉じて聴きつづけた。

「悲しみは雪のように」は1992年、鈴木保奈美と唐沢寿明、江口洋介らが主演したドラマ「愛という名のもとに」の主題歌で大ヒットした楽曲だ。もっとも、これはアレンジされたもので、オリジナルはこの「愛の世代の前に」に収録されている。こちらはむしろポップで軽快、ぼくはこのオリジナルが好みに合う。

ドラマタイトル、そして挿入歌に使われた「愛という名のもとに」も、番組で使われたのは新たなアレンジだったが、このアルバムにはオリジナルバージョンが収められている。そして、やはりぼくはこちらが好みだ。

とはいえ、ぼくが浜田省吾を聴きはじめたのはこのドラマのはるか以前で、番組はまったく関係がない。そもそも、ぼくはこのドラマを見ていないのだ。だから、懐かしさ、というようなものは一切ない。

ぼくが彼の曲を聴くようになったのは、学生時代の同級生がよく聴いていたからである。では、その同級生となにか特別な想い出があったかといえば、これは特になにもない。たまたま所属の部で一緒になっただけのことであり、共に遊んだような記憶も皆無だ。なにしろ、名前さえ満足に思い出せない始末なのだから。

あの時代、さまざまに楽しく、そして数限りない辛い出来事が、浜田省吾の曲を背景に記憶されていたということもなかった。失われた想い出の数々が、浜田省吾をバックに走馬灯となって流れてゆくわけでもない。ぼくはすでに中年と呼ばれる年齢になって久しいけれど、浜田省吾を聴いて若き日々の想い出を懐かしむ、ということも起こらなかった。

あぁ、懐かしい、という感情は、まったく湧き上がってこないのである。過去からやってくるのではなく、聴いている只中の、今この瞬間という時間の中に、彼の曲が生きた姿となって立ち上がってくるのだった。浜田省吾の曲は時代と無関係に、今という時間を生きているらしい。

J.Boy 受け止めろ 孤独ってやつを
J.Boy 吹き飛ばせ その空虚(むなしさ)ってやつを
(J.BOY/浜田省吾)

歌詞を引用した「J.BOY」は、ぼくが手にしたアルバムには含まれていないが、音楽ダウンロードサイトのMoraで試聴できる。専用プレーヤーも無料だ。

B00005G7IU J.BOY
浜田省吾

おすすめ平均 star
star現代人へのメッセージが20年前の省吾さんから届いています。
star20代に聴いて欲しい
starこのページでだまされたつもりで・・・よかったです。
starベスト盤じゃないのに
starおそれずに手にとってみて

曲名リスト
1. A NEW STYLE WAR
2. BIG BOY BLUES
3. AMERICA
4. 想い出のファイヤー・ストーム
5. 悲しみの岸辺
6. 勝利への道
7. 晩夏の鐘
8. A RICH MAN’S GIRL
9. LONELY-愛という約束事
10. もうひとつの土曜日

1. 19のままさ
2. 遠くへ-1973年・春・20才
3. 路地裏の少年
4. 八月の歌
5. こんな夜はI MISS YOU
6. SWEET LITTLE DARLIN’
7. J.BOY
8. 滑走路-夕景 ※〈CDエクストラ〉

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