イジメ

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はっきりと、そして急速に、気力の喪失を感じている。ここのところ調子がよくなりつつあったので、それがよりいっそう際立つ感じだ。今、こうやってキーボードを打つのさえ、たいへんに面倒くさく億劫である。ロダンの「考える人」のポーズをとっていろといわれたら、死ぬまでその姿勢のままでいられると思う。

ぼくはすでに5年近くを路上で過ごしているが、身内の人間はまだぼくをイジメ足りないと聞いたのだ。ショック、などということばでいい表わせるものでは到底ない。表現のしようがない衝撃であった。家族がぼくの死を望んでいることはわかっていたけれども、それを再確認することは途方もない痛みを伴う。

弱い者イジメをする人間はたいていそうだが、どうすれば相手が困るのか、を知ることに非常に長けている。どうやれば相手がいちばん嫌がるのかをよく知っているものだ。そうして相手のいちばん弱い部分をピンポイントで攻めてくる。戦争なら非常に有能な人材で重宝するだろうが、平和を求める世にはふさわしくない。

感情を抑えきれず、ときに殺意をむき出しにする長兄や、彼を圧倒的に100%支持して後押しする母、自ら彼らに数十年にわたってイジメられつづけながら結局ぼくへのイジメに加担してしまう父。彼らは滅多なことでは直接に手を下そうとはしないけれど、ちくちくと機会あるごとに少量の毒を盛ってゆく。ヒ素のようなものだ。相手に蓄積したその毒が、やがて致死量に達するであろうことをもくろんでいる。

そうしてついに相手が死んだとき、
「家族をかわいいと思わない人なんていない」
とうそぶきながら、本心では、
(やっと死んでくれたか……)
と胸をなでおろすのである。

余談ながら、母と長兄は、父が死んだら密葬にすると決めている。最近は経済的な理由で世間的にも密葬は認知されてきていて、特に疑念を持たれないからだ。しかし、実際の理由はそうじゃない。ほんとうは、母も長兄も父のための葬儀などしたくないのである。それほどに忌み嫌っている。けれど、それでは世間体が保てない。だから密葬で済ませようというのが事実だ。

ぼくが死んだら密葬にもならないだろうが、彼らの思うつぼであることはまちがいがない。
「ロクデナシの息子(弟)が自業自得で死んだ。自分に罪はない。よかったナ~\(^o^)/」

ぼくが生きながらえているのは、ひとえにそのことへの抵抗のためである。

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