ホームレスのすべて

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 ホームレスについてわたしが知っていることのすべて。

★ホームレスとは

ホームレスとは、広義のワーキングプア(働く貧困層)のうち、定住する権利のある住居を持たない者たちのことである。

★ホームレスを引き起こす原因

 失業、リストラ、倒産、死別、家族崩壊、借金、アルコール、ギャンブルなど、個々の具体的な状況は実にさまざまで、論じても意味がない。がしかし、その根底には共通するものがある。それはなんらかのきわめて重大な、打ちのめされるような喪失体験だ。そして、その多くが、ヒューマン・リレーションシップ(人間関係)、中でも対等で信頼できる人間関係の喪失と関わっている。

★なぜホームレスから脱却できないか?

●外部からわかる客観的な状況

  1. お金がない(お金がないと住居が借りられない)
  2. 仕事がない(仕事がないとお金が入らない)
  3. 住居がない(住居がないと雇ってもらえない)
  4. 住民票がない(住民票がないと住居が借りられない)
  5. 保証人がいない(保証人がいないと住居が借りられない)

●ホームレスの心理状態(いずれも人間であれば誰にでも起こる)

  • 自己評価(自尊心)の低下:喪失体験によって自分を無価値だと感じている
  • 学習性無力感:喪失体験と挫折を繰り返すことで気力を失っている
  • ビジョン(展望)の欠落:(絶望から)将来のビジョンをイメージできなくなっている
  • 自己効力感(自負心):自信を持って「自分にはこの仕事ができる」といえるもの以外、手を出せなくなっている。職人などがいう「いまさらほかの仕事はできない」状態
  • コンフォート・ゾーン(快適ゾーン):「自分とはこういう人間だ」という自己イメージの枠組みから脱することができなくなっている

★どうすればホームレスを援助できるか?

●状況への援助

  • 住居の提供
  • 雇用の創出
  • 経済的な援助
  • 偏見と差別の低減

●心理的援助

  • 自己評価(自分をどう評価しているか)の改善
    • 承認(肯定的ストロークあるいはアクノリッジメントによる)
  • 生きがい(本人がいちばん幸福な状態)の発見と実現 → 内発的動機づけ
    • 期待(周囲の確信的な) → ピグマリオン効果
    • 責任の付与(決定プロセスに本人が参加 → 自己決定感)
      • 目標
      • 計画
    • フィードバック → 自己効力感の獲得
      • 動機づけ(賞賛 → 報酬による強化)
      • 情報の提供
      • 問題の改善(過去より未来。「なぜ?」より「どうするか?」)
  • 対等で信頼できる人間関係の回復
    • 一方が被支配者あるいは依存者ではない対等な人間関係
    • 相手を「理解しよう」「受け容れよう」とする気持ちが信頼を生む基盤となる

 ※いずれのプロセスも、傾聴(無条件の肯定的尊重による)と共感(共感的理解)によって築かれた、援助者と本人との信頼関係(ラポール)が基盤となる。そして、ラポールの形成にもっとも大切なことがらがコミュニケーションであることはいうまでもない。すべてはコミュニケーションからスタートし、そしてそれは援助者側からの積極的なアプローチでなければならない。いかに有益な情報を提供しようとも、信頼できぬ相手のいうことなど、いったい誰が信用するだろうか? 援助者は常に積極的にコミュニケーションを取るよう心がけ、対等な信頼関係を築くように努める必要がある。

★改善はあるか?

 人間は社会的動物であるから、ある個人が自己都合や自己決定だけでホームレスになることは決してあり得ない。同様に、ホームレスが自身の意思のみで社会復帰することもあり得ない。そこには家族、地域、社会、経済、政治などの周辺環境が必ず影響を及ぼしている。その改善なくしてホームレス問題の根本的改善もまたあり得ない。

  • 子供の教育:ホームレスへの差別や偏見は、結局のところ長期的な教育によってしか改善しない。口先だけで「人権」などと唱えてもなんの効果もない。理性ではなく感情を揺さぶる教育が必要だし、それはおそらく「ホームレス問題」などという抽象的なものではなく、「あの親切なおじさんは実はホームレスだった」というような、個々人に具体的に関わることでしか成し得ないものと思われる。
  • 市民の教育:常時、眼につくようにキャンペーンを張り、刷り込み効果を高める以外にない。メディアを使った政府広報をはじめ、行政が先頭に立つのがいちばん望ましい。したがって、目立たないようにコソコソ援助すべきでない。民間支援にしても、ホームレスが逆に市民を援助するなどの逆転の発想を用いたりといった、卓越したアイディアが必要だ。結局、市民サイドをどう巻き込んでゆくかが焦点となる。

★若干の考察

 明るく元気で陽気なホームレスの話はよくあるが、その要因は同類たちのコミュニティに属していることにある。スポーツの苦手な子供は、上手な子ばかりいるチームに入ってもゲームを楽しむことができない。自己評価が低くなるためだ。しかし、おなじように苦手な子供ばかりのチームに入ると自己評価が回復し、生き生きと動き回るようになる。

 それとおなじことがホームレスにも起こる。おなじような境遇にある者どうしのコミュニティに属することで、自身の自己評価は回復する。そのために元気を取り戻す。だが、それはあくまでもホームレスのコミュニティ内でのみ通用する。市民社会に対しては、相変わらず低い自己評価しか持ち得ない。

 第4空間、なることばがある。たぶん学者さんが使い出したことばで、若者たちがそれまでの「学校」「家庭」「地域」から別の空間へと流出しているとかいう話だ。それはストリートであったりネットであったりテレクラであったりするそうだけれど、今までの空間では承認が得られないので、第4空間によって新たな承認を得ようとする適応行動なのだという。ホームレスのコミュニティというのは、もしかすると大人たちにとっての第4空間なのかも知れない。

 とまぁいろいろ書いてきたけれど、ホームレスについてはこの程度のことしかわからないのが現実だ。というのも、結局のところホームレス問題というのは人間そのものの問題と深く関わっているからだ。人間は、よくわからん。だから、ホームレスもよくわからん。そーゆーことです。

※「武州無宿・健次郎はなぜブログを書くのか?」は、リンク先に単独トピックとして独立させました。

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