ほとんど進まぬホームレス施策

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遅れる施策、効果鈍く」と10月4日の東京新聞が川崎市のホームレス施策について報じた。

現在、川崎市のホームレス施策は一時宿泊施設である「愛生寮」がほとんどすべてをまかなっている。しかし、その後につづくはずの自立支援センターなどの設置が進まないため、「出口」を設けることができない。同施設の朝倉所長は、
「次につながる施設がない現状ではしんどい」(同紙)
と話す。こうした現状を見て同紙は、

こういった施策の遅れが自立への歩みを鈍らせている側面は否めない。

~中略~

限られた時間の中で効率的な施策を展開するためには「次の一手」が急がれる。

としている。

興味深いのは川崎におけるホームレス数の現状だ。市が7月におこなった調査では938人で90人減。市はこれを自立支援施策の効果だとしているとのニュースは「川崎のホームレス、数えまちがいで減少か?」でお伝えしたが、東京新聞はこの数字に「愛生寮」の利用者が含まれていないと書いている(!)。なんてことだ。調査当日の「愛生寮」利用者数は114人で、これを足せば実際には増えている勘定になる。

市は成果が出ているとアピールしたくて差し引いたのだろうが、施設利用者をホームレスの勘定に入れないなどというのは、意図的な数字操作だといわれてもしかたないのではないか。というよりも詭弁に近い。それをそのまま報じた読売新聞の報道姿勢にも、いささか呆れ果てざるを得ない。知らなかったはずはあるまい。ジャーナリズムとしての姿勢が問われる。どうかしていると思う。

ちなみに昨年度の「愛生寮」卒業者は14人だという。つつかれてやっと数字を出してきたか、という感が否めない。数字が数字だけに出せなかったのであろうか。わたしは前記事で「せいぜい10人程度」と書いたと思うが、当たらずとも遠からず、か。実感として、凡手といってよい既存の施策で1年程度で90人も減るはずがない。減ったら奇跡と思ってよかろう。

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