スッポン・ボランティア

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わたしの願いは極めて明瞭だ。

マイノリティに眼を向けて欲しい

つまるところそれだけなのだ。

寄せ場経由のホームレス問題など、すでに散々語られてきている。日本寄せ場学会なんてものまであるぐらいなのだ。公園や河川敷に小屋を持って定住しているホームレスでさえ、もはや誰もが語り尽くしている。いまさら語ってなんになろう?

彼らはまさにホームレスの中のマジョリティ。これまでに満たされずとも部分的に支援を受けてきたし、さまざまな意見はあれど、徐々にではあるが更なる支援の体制が整いつつあることも事実だ。彼らはどだいマジョリティなのである。

今、このブログで、わたしの戯言に付き合ってくれているボランティアの人は3~4人ぐらいかな。わたしが他のボランティアを踏んだり蹴ったりする中で、この人たちは離れなかった。一度噛みついたら決して放さない、まさに狂犬のようなボランティア……

いや、狂犬じゃマズイかな。そう、一度噛みついたら骨まで喰らい尽くす、まさにピラニアのような……。骨まで喰らっちゃいくらなんでもマズイだろ。そう、一度からみついたら締め殺すまで二度と放すことはない、まさに巨大ニシキヘビのような……。って、締め殺しちゃー困るんでぇ。よし、一度噛みついたら二度とは放さない、まさにスッポンのようなボランティア。……冴えないけど、まぁよいだろー。

わたしはこの人たちをとっても高く評価しているのだけれども、それはいうまでもなくマイノリティのホームレスであるわたしに付き合ってくれているからだ。ネットでホームレス支援の団体・個人のサイトを調べてみてもらってもよいが、100あったら99までがマジョリティのホームレスを扱ったものなんだ。にもかかわらず、スッポン・ボランティアの人たちは、少数派であるわたしに付き合ってくれている。彼らこそはほんもののボランティアだ、と思う。

余談ながら、漫画家・松本零士の「ザ・コクピット」(旧・戦場まんがシリーズ)に「スタンレーの魔女」という名作短編がある。太平洋戦争時、ろくに護衛もつけずラバウルからオーエン・スタンレー山脈を越えてポートモレスビーを爆撃に行く一式陸上攻撃機部隊。主人公たちの機はボロボロで速度も出ず、編隊からはるか遅れて後方を飛ぶ。そんなところを敵機に喰われ(襲われ)たらひとたまりもないのだが、数少ない護衛から零戦が2機、ついてくれている。それを見ながら機長がポツリという。
「あいつらは男だ。すまねえ」
そんなシーンを思い出す。

さて、寄せ場なんて、はっきりいえば一般社会とは切り離された場所なんだ。「ドヤ街に潜入」なんていったところで、「潜入」ということばじたい、すでにそこが特殊な空間であることを示しているに過ぎないんだ。そんな場所からの報告は、いきおいゲテモノないしキワモノで、怖いもの見たさの欲求を満たすだけなんだよな。その特殊性が浮き彫りになるだけなんだ。

公園や河川敷に住んでいるホームレスの生活ルポ? そんなものはどうでもよい。べつにたいした生活はしていない。俺は何度か泊めてもらったことがあるが、いっちゃ悪いが路上に比べりゃ天国だ。ふとんがあるッ! たったそれだけのことでも天国と地獄だ。俺はもう2年と3ヶ月、ふとんに寝ていない。柔らかくて暖かなふとんの感触なんかとうに忘れたよ。

俺はね、マジョリティのホームレスには、もう特段に言及する必要はないと思っている。彼らはすでに充分語られてきて庇護の対象にもなっているし、実際に庇護しやすい存在になりつつある。それはマジョリティのホームレスを支援するボランティアの成果でもあろう。

けれど、そのためにマイノリティのホームレスが陰に隠れる結果になってしまったんだ。以前、俺の身の振り方についてそっち方面のボランティアに、寄せ場がどうしたとかドヤがなんだとかいわれて面食らったものだ。俺は建築関係の日雇労働者じゃない。未経験の俺がそこへ行ってもどうなるものでもない。むしろ埋没して永久に路上をさまようことになる。彼らと会話を交わしていると、話がまったくかみ合っていないことに気づく。ホームレスは寄せ場にこなければならないと思い込んでいるのだ。

もっとマイノリティのホームレスに眼を向けて欲しい

つまるところ、俺のいいたいのはただそれだけなんだ。

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