生きることへの安心感

スポンサーリンク

例によって自己評価の話だが、お付き合い願いたい。

以前の『自己評価の心理学』で、わたしは自己評価には二種類あると書いた。存在の価値と能力の評価だ。これを別のいい方にすると、生きることへの保証、つまり安心感と、生きてゆけることの能力、すなわち自信である。

で、人間はその根本に、生きることが保証されている安心感が必要だというのは、以前とおなじ話のいい換えなのだけれども、実際、ホームレスにおいてはこの安心が得られない。衣食住といった物理的な欲求が満たされにくい環境であることはいうまでもないが、根本で社会からその存在を否定されている、それが精神に大きく影響している。社会から否定され、生きることへの保証を失ってしまっているのだから、安心感など得ているはずもない。つまり、以前に書いた「存在の価値はしっかりしている」などというホームレスの存在は、非常に考えにくいのだ。

マスコミで、時折「自由がいちばんよい」などといって、社会に背を向けたようなホームレスが報道されることがある。あれをそのことばどおりに受け取る人はあまりいないだろうし、いたらかなり素直な人だろうと思う。では、なぜあんなことをいうのか? あんなことをいわせるものとはなんなのか? ああいわざるを得ないとはどんな心なのか? ということを考えると、それは、「安心感を得られない社会に、ついに見切りをつけてみせた」という、切羽詰ったホームレスの心境が透けて見えるように思うのだけれども、あなたにはそれがどのように見えるだろうか?

関連記事

自己評価の心理学 能力の評価と存在の価値 さて、人に認められたいというのは自己承認欲求ともいわれ、人間の基本的な欲求である。そこで大事な役割を果たすのが自己評価だ。医者や研究者によって、自己価値感情、自己肯定感、自尊感情など呼び方はさまざまだが、要は自分自身をどう思っているかということである。 自己評価には二種類...
ホームレスの定義  日本のホームレスの定義は「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」にある、 「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」  という文言が公式なものでしょう。要するに公園や河川敷などにテントや小屋を持っていたり、駅やビルの谷間などにダンボール一枚で...
あなたもまた退行する さて、よく引き合いに出されるのは入院患者さんの話だろうと思うのだが、患者さんは、はじめのうちは大人の自覚もあるし、医者や看護士さんは赤の他人であるから、いわれたことはきちんと守っておとなしく療養している。ところが入院が長引くにつれ、あれをしたいだのこうして欲しいだの、だんだんとわがままをいい出す。社...
ボランティアのタイプ分類  ホームレスを支援するボランティアがいるのはご存知でしょうが、彼らは通常、衣類や雑貨などを配って歩いたり、炊き出しをおこなったり、生活相談を受けたり、福祉事務所と交渉したりしますけれども、おおむねその立場と目的によって3種類ほどにわかれています。 労働・社会運動系 日雇い労働者市場である...
スポンサーリンク