生きることへの安心感

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例によって自己評価の話だが、お付き合い願いたい。

以前の『自己評価の心理学』で、わたしは自己評価には二種類あると書いた。存在の価値と能力の評価だ。これを別のいい方にすると、生きることへの保証、つまり安心感と、生きてゆけることの能力、すなわち自信である。

で、人間はその根本に、生きることが保証されている安心感が必要だというのは、以前とおなじ話のいい換えなのだけれども、実際、ホームレスにおいてはこの安心が得られない。衣食住といった物理的な欲求が満たされにくい環境であることはいうまでもないが、根本で社会からその存在を否定されている、それが精神に大きく影響している。社会から否定され、生きることへの保証を失ってしまっているのだから、安心感など得ているはずもない。つまり、以前に書いた「存在の価値はしっかりしている」などというホームレスの存在は、非常に考えにくいのだ。

マスコミで、時折「自由がいちばんよい」などといって、社会に背を向けたようなホームレスが報道されることがある。あれをそのことばどおりに受け取る人はあまりいないだろうし、いたらかなり素直な人だろうと思う。では、なぜあんなことをいうのか? あんなことをいわせるものとはなんなのか? ああいわざるを得ないとはどんな心なのか? ということを考えると、それは、「安心感を得られない社会に、ついに見切りをつけてみせた」という、切羽詰ったホームレスの心境が透けて見えるように思うのだけれども、あなたにはそれがどのように見えるだろうか?

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