ホームレスにおける好意の返報性

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以前、とあるサイトでホームレスの「心変わり」が話題になった。ホームレスの世話をしている人なのだけれども、面倒を見た相手が突然いなくなったり、次に会っても詫びもないことが多いというので、ホームレスとは深く付き合わないことにしたという話である。

心理学に「好意の返報性」とか「互恵性」とか呼ばれるものがあったと思う。人間は、自分を好きになってくれる人を好きになる、というような法則で、恋愛などの説明によく使われる。ビジネスでも営業の世界では広く応用されていて、
「親切にされたらなにかお返しをしなければならない」
という心理を利用して、客に親切にして物を買わせる、そういう法則である。

余談ながら、マスコミを賑わす悪徳業者はたいていこの手を使う。
「あんなに親切だった人が……」
と話す被害者は後を絶たない。みなさんもお気をつけあそばせ。

閑話休題。
人に親切にされるとお返しをしたくなるのが人間の心理である。そう感じない人は、自分を特別な存在だと思っている自己愛性人格だ。だから、たいていの人はお返しをしようと思うものである。だが、ここで、もう少しよく考えてみて欲しい。

お返しをしたいが、できない場合はどうなるか?

こうしたケースはあまり論じられないようだが、それ以上の親切を拒む、という選択肢がある。ここでは、親切にされることを拒絶するのが最大の誠意の表明となり得るのである。

先のホームレスが、返せる当てがない親切にたいへんなプレッシャーを感じていた可能性は十分に想像できる。むろん、単なる自己愛性格者だったのかも知れないが。

ただ、だからといって、まったく相手にするなという話ではない。あなたが路上で何気なく世話をしているホームレスが、実はとんでもなくプレッシャーを感じているかも知れないという話だ。ならば、相手が返さずとも済むような、ほどほどの親切でもよい。そうでなければ逃げられるか、相手が自己愛性人格者なら徹底的にむしられてしまう可能性がある。

ホームレスにしろニートにしろ引きこもりにしろなんにしろ、社会問題だの経済問題だの労働問題だのといって、とどのつまりは対応する側を含めた人間性の問題なのである。相手をどう見抜き、どう対応するのか、その力量が問われているのだ。

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