『フリーターとニート』(小杉礼子ほか/勁草書房)

スポンサーリンク

ニート関連の本というと、以前は『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』(玄田有史・曲沼美恵/幻冬舎)ぐらいしかなかったが、ニートということばが市民権を得た(といってよいだろう)現在、続々と関連本が出版されているようだ。

そういうわけで『フリーターとニート』(小杉礼子ほか/勁草書房)を図書館で借りた。予約なども入っていてなかなか借りられなかったが、間隙を突いてひょいっと借りた。がははッ!

……が、一読して散漫な印象を持った。序章で統計データを使い、ニートやフリーターの増減や学歴などを分析するまではよいのだが、次章以降、教育課程のどの段階で逸脱するのか、家庭状況との関連は? などの分析に入ったとたん、非常にわかりにくくなる。個々の事例に触れてあれもこれもという感じで、ポイントが絞り切れていないように見えるのだ。何度か読むとやっとこちらの頭が整理されてきて、ようやく全体像がぼんやりと見えてくる印象が強い。少々つらい。

小杉礼子さんは「ヤンキー型・ひきこもり型・立ちすくみ型・つまずき型」というニートの分類をした人だが、この本でもおなじような類型化を試みている。しかし、この分類は、どうもMECE(ミッシー:モレなしダブりなし)感が薄い。分類の軸が不鮮明なので、他にも型があるんじゃないかと思わせたり、たとえばAとB-1といった、ちがうレベル(深さ)の型を並べているように見える部分もあって、今ひとつ関係がはっきりせず、どうも納得感に欠けるように感じる。事例のみを類型化するとこういうことが起こりがちで、そのうち例外が出てきてしまうので、この類型が定着するのはあまり賛成できない。はっきりと軸を取り、できるだけMECE感を高めたいところだ。

「ニートとかフリーターとかって、どういう人たちなんだい?」
「……いろいろだな」
「原因は何?」
「……いろいろだよ」
「どんな対策をすりゃいいんだ?」
「……いろいろだね。人生いろいろ」
「……おまえはコイズミさんかい」

なんか、読み終わった印象は上記のようなものだが、ただ、この本はおそらく専門書に近い。少なくとも、一般向けにニートやフリーターをやさしく解説した啓蒙書ではない。1冊目としてはお薦めできないが、2冊目以降、理解を深めたい人にとっては、それなりの知見を与えてくれるかも知れない。

フリーターとニート
4326653043 小杉 礼子
勁草書房 2005-04

健次郎レビュー

Amazonレビュー平均 star
starただの報告書?
star事例がたくさんあるのがよいが、議論の根本が間違っている
star参考にはなるが、何か違うと思う。

Amazonで詳しく見る by G-Tools

関連記事

「ちゃんといい加減に生きよう」と玄田さん... ニートなどの研究で知られる東京大学社会科学研究所の玄田有史助教授が「ニートが大人に問うたこと」というテーマで講演したとライブドアニュースが報じた。助教授は「社会全体が余裕を失っている。生真面目になりすぎるのではなく、"ちゃんといい加減に"生きよう」と語ったという。  玄田助教授は「何でも理解し...
「働く若者ネット相談」がスタート 7月31日付の日経新聞によると、尾辻厚生労働相がニート対策に、 「お金がかかってもいい。一人でも多くの若者に働く意欲を持ってほしい」 と述べ、予算の拡充方針を示したという。 その厚労省では8月1日から「働く若者ネット相談」を始めるという。パソコンやケータイで専門家の相談を受けられるそうだ。ネットなら...
ニートとひきこもり(1)  にせ藤沢人さんのブログ「藤沢生活」の記事『引きこもりとホームレス』では、ひきこもりとホームレスの接点について触れられているが、わたしもホームレス、ニート、ひきこもりには多分に重なり合う部分があると感じている。また、フリーターも単に雇用の問題としてではなく、その心性においてどこかホームレスに通じると...
ニート支援策、見直しへ 厚生労働省がニートの支援策を見直すそうだ。調査の結果、発達障害を持つ人が一部に含まれていることがわかったため、支援機関に心理専門職を配置するらしい。 なにをいまさらこんなことをやっているのか、さっぱりわけがわからないニュースだ。このことばが流通しはじめた当初から、すでにニートにはいくつかの種類が...
スポンサーリンク