ジャーナリストはもういらない

スポンサーリンク

★3月7日

わたしがインターネットでホームレスからの発信という奇怪なことをはじめてからの最大のなぞは、プロフェッショナルなジャーナリストたちの存在だった。幾人ものジャーナリストたちがサイトを持ち、それぞれの視点で政治や経済や国際問題や社会問題を切り取ってゆくさまは、テレビや新聞といった既存の巨大メディアからは発信されない、新しいものの見方を教えてくれた。

だが、妙なことに、彼らの語る題材はおおむねいつもテレビのトップニュースなのであり、新聞の1面記事なのだ。わたしはテレビをほとんど見られないのでニュースは図書館の新聞で知ることがほとんどだが、デカデカと報じられた事件について別の見方を知りたくなれば、まずネット上のジャーナリストのサイトを読む。彼らは直ちに反応し記事化していて、それはたいへんに役立つ内容のものが多い。

けれど、身近な話題について触れられているものは、驚くほど数少ない。身近に起きている奇妙なこと――たとえばホームレスがネットで発信していることなどに触れるジャーナリストはまずいない。以前、団藤保晴さんの「ブログ時評」でニートの話題で取り上げていただいたぐらいが関の山で、それとてホームレスがどうこうという話ではなかった。ホームレスを専門に扱っているのは「東京ホームレス」の村上知奈美さんだが、しかし双方向性を欠いているサイトのため今以上の発展は望めそうもない(注:村上さんはその後、双方向性のあるブログを開設している)。その他のジャーナリストがネットでホームレスに言及している話は聞いたことがない。

彼らの脳ミソを覗けない以上、わたしに理由はわからない。ホームレス問題なぞに興味はないのか、ネットにホームレスがいても不思議じゃないと思っているのか、単に知らないだけなのか、はたまたほかに理由があるのか、わたしには知る由もない。ただ、彼らが扱う話題がいつもビッグニュースばかりだというのは、まったく理解できない。大衆ウケする話題ばかりを手当たり次第、散発的に追っているのかと、皮肉のひとつもいってみたくなる。なにもホームレス問題に限った話じゃないのだけれど、巨大メディアで滅多に報じられない話題をライフワーク的に追うようなジャーナリストは、今はもうむかしの話なのだろうか。

わたしは今後、ジャーナリストという名の役に立たない人たちをまったく信用しないことにした。巨大メディアがトップで扱う話題だけを追いかけているようなジャーナリストなら、そんなものもういらない。

★3月9日

ブログにはトラックバックといって、よそのブログからこちらへ強制的にリンクさせる機能がついている。いってみれば、よそ様のお宅の玄関先に、「ご自由にお取りください」というチラシの束を無断で置かせてもらうようなものである。

現実にこんなことをやったらたいへんだが、ブログの世界では話題を広めたりつながりを強めたりする目的で積極的に活用されている。実際、トラックバックをすると、相手方のブログを読んだ人がこちらの記事も読んでくれるようになる。こちらからもリンクをしておけば相互リンクが出来上がり、読者は双方向に流れてゆくというわけだ。

この機能を使いこなせば、たくさんの読者を自分のブログに誘導することができ、またたくさんの読者をよそのブログへと還流することができる。こうしてそれぞれのブログで語られている話題があちこちへと広まってゆく。そう思いがちだ。

だが、現実はそうはゆかない。中程度の規模のブログ同士でトラックバックした場合、それを通じて読者が還流するのは2~3日、長くてせいぜい1週間である。それを過ぎると読者数は元に戻ってしまい、以後、その話題は忘れ去られる。

ところが、である。1日に万単位の読者を集めるような巨大なブログのトラックバックに成功すると、流れてくる読者がドッと増え、日々減少するものの読者は確実に増える。万が一、まかりまちがってこうしたブログからこちらへとリンクを張られようものなら、文字どおり爆発的に読者数が激増することになる。

ここからわかるのは、ある話題が流通するのには、巨大ブログが果たす役割がきわめて大きいということだ。中程度規模のブログ同士でチマチマと語られている話題は、巨大ブログで取り上げられなければまず流通してゆかない。星の数ほどあるブログの中から読者は巨大ブログをアテにし、情報を知り、関心を持つ。みんな巨大ブログに集まってくる。……あたりまえの話なんですがネ(苦笑)。

でも、よく考えてみると、これってテレビや新聞と変わらないよネ。主要各局だとか主要各紙だとか、そういうところが情報の流通量を左右してる。結局、ブログの世界でもそれとおなじことが起こっている。俳優だとかタレントだとか歌手だとかスポーツ選手だとか、作家だとか評論家だとか専門家だとかジャーナリストだとかカリスマ社長だとか、そういう著名な人たちが話題をコントロールしている。彼らが扱う話題だけが世間に認知されてゆく。それ以外の話題は存在しないも同然。この構造は変わらないんじゃないかネ。

わたしはホームレス問題についてみんなに知って欲しいけれど、わたし個人が目立つのは避けたい。矛盾しているが、元来目立つことが嫌いな性格なので仕方がない。このブログが目立つのはよいが、わたし自身は目立ちたくない。そういう葛藤を抱え込んでいる。

ライブドアにはランキング表示があって、このブログはジャーナリズム部門の10位あたりをウロウロしていた。ランキングからきてくれる読者はほとんどいないし、宙ぶらりんの順位にいるのもみっともないので、目立たないジャンルへと隠れることにした。ジャーナリズムなんてごたいそうな看板は下ろしちまおう。おかしな話だが、そうしようっと。

関連トラックバック先リスト

関連記事

傾聴ボランティア 「傾聴ボランティア養成講座」などというものがあるそうだ。ちょっと古いが6月11日付の読売新聞で紹介されていた。福祉施設でのボランティアを目指す人や、介護ヘルパーが主な受講者だという。 おもしろいエピソードとして、 「批判や反論はもちろん、助言や忠告も不要」 と指導すると、 「相談されているのに、...
東京23区のホームレスが2割減  東京都の調査では、23区のホームレスが昨年に比べて1,000人以上減り、4,200人余りになったと朝日新聞が報じた(リンクが切れているかも)。都では家賃3,000円で2年間アパートを貸す「ホームレス地域生活移行支援事業」などの施策が奏功したと見ている。  今3,000円を払えるからといって2年後...
「自立生活サポートセンター・もやい」の窮地・その後... リプラス破綻で資金援助を受けていた「自立生活サポートセンター・もやい」が窮地に立った話だが、1ヶ月あまりで総額3,400万円以上(!)の寄付が集まったそうで、来年度までの活動には支障をきたさなくなったようだ。よかったね。 しかし、この金額の大きさには、多くのホームレス団体が度肝を抜かれたり腰を抜...
山谷の労働者にパソコン講習 13日の朝日新聞・夕刊だと思うのだが、「城北労働・福祉センター」が、山谷の主にドヤ暮らしの労働者にパソコン講習をおこなっているという記事。といっても専門職に育てるつもりはなく、あくまでも必要最低限のスキル範囲内らしい。土木関係の求人が激減しているので、別の職種への取っ掛かりとしてということのようだ。...
スポンサーリンク